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元ソニー社長・出井伸之氏 予見していた「ネット時代の企業経営の本質」

ミレニアム前後はまさに出井氏の時代だった(ニューヨーク証券取引所、AFP=時事)

ミレニアム前後はまさに出井氏の時代だった(ニューヨーク証券取引所、AFP=時事)

 インターネットが世界を席巻することを自分は体験的に知っていたから、「It’s a Sony」を捨て、「Digital Dream Kids」を掲げ、ソニーをインターネット企業へ、コンテンツ企業へと大きく舵を切りました。

 社長になる前に、社内のシンクタンクで「これからメディアは対話の時代になる」というレポートを書きました。それまでのメディアはテレビとか新聞、映画とか、一方的に情報を伝えていたのが、インターネットによって双方向で対話する時代になると。

 出井は10年早過ぎるとか色々言われたけども、私は確信していました。インターネットの時代の企業経営は、“有形資産から無形資産への大転換”が本質になるということを。

 ここが分からないと、昨今起きている“ハンコをやめてデジタルにする”っていう、プロセスの話に終始しちゃうんですよ、そうじゃなくて、それによって何を生み出すかという本質を、やはり見ないといけない。

【プロフィール】
出井伸之(いでい・のぶゆき)/1937年生まれ、東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、1960年にソニー入社、外国部に配属。1962年スイスに留学。1968年フランスに赴任、ソニーフランス設立に従事。1979年オーディオ事業本部長、1988年ホームビデオ事業本部長を経て1995年に代表取締役社長に就任。2005年に会長兼グループCEO退任後、2006年にクオンタムリープ株式会社を設立。現在、同社の代表取締役会長。

聞き手/児玉博(ノンフィクション作家)

※週刊ポスト2021年1月1・8日号

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