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副業禁止の会社はまだ多い 内緒の副業がバレたらどうなるのか、弁護士が解説

企業が副業を禁止する理由

 多くの日本企業では長らく、副業は実質禁止されてきた。会社員でも勤務時間外の活動は自由のはずだが、なぜ副業は禁止されてきたのだろうか。

「会社員には職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務があるためです。そうした義務に違反すると会社が判断した場合、副業を制限することが可能です」

 職務専念義務とは、「勤務時間中はその職務に専念する」ということ。勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用いること、とされている。こうした義務に違反した場合、会社からの処分を下すこともできるという。

「1982年(昭和57年)の判例ですが、勤務後6時間にわたってキャバレーで無断就労していた従業員を企業が解雇し、従業員から訴えられた事案があります。労務提供上の支障や企業秩序への影響等を考慮して、企業側の処分として解雇は有効だとされました。例えば、副業で夜勤のシフトに入り、昼間の本業中に集中力を欠くなど職務に専念できない状況が続く場合、会社からの処分に繋がる可能性もあります」

 労務提供上の支障がないケースではどうだろうか。厚生労働省の「副業に関するガイドライン」では、副業を制限できる条件として、以下の通り定められている。

(1)労務提供上の支障がある場合
(2)業務上の秘密が漏洩する場合
(3)競業により自社の利益が害される場合
(4)自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合

「上のガイドラインの(1)(2)はわかりやすいですが、(3)と(4)は判断が難しいケースも多数あります。問題ないだろうと副業を開始した後に、会社から(3)や(4)の観点で問題を指摘される可能性もあります。副業をしたいのであれば、まずは会社の就業規則を確認し、会社に相談した上で副業の内容を決めるという手順が良いと思います」

 渡邉氏は、最近では(2)の秘密保持義務や(3)の競業避止義務から問題となるケースも増えていることを指摘する。

「(2)の秘密保持という観点で、エンジニアによる技術漏洩が問題となるケースがあります。自社の特許技術は言わずもがなですが、自社独自のノウハウを副業で使うのも、場合により秘密保持義務違反として問題になる可能性があります。また、類似の業種や類似サービスを提供している企業での副業は、競業避止義務に違反するリスクがあります」

 企業側は合理的な理由があれば、副業を禁止することも、その内容を制限することもできる。副業を開始する際には十分に注意したい。

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