投資

令和の株価バブル 恩恵受けるのは上場企業創業者や資産家ばかり

 政府は年金だけでは老後資産が足りないと国民にNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を推奨し、株や投資信託を始めた人は少なくない。

 日本証券業協会が昨年10月に発表した意識調査によると、個人投資家は年金生活者や管理職以外のサラリーマン、専業主婦で6割以上を占め、平均年収は423万円、過半数が預貯金を合わせた金融資産1000万円未満の層だった。まさに「老後資金」のためにコツコツ少額の投資をしている層と重なる。

 日経新聞電子版(2月1日付)は2018年1月時点で「つみたてNISA」の対象商品だったファンド(投資信託)の99%が昨年末までの運用成績がプラスになっており、とくに日経平均連動型ファンドはどれも3年間120万円の積み立てをした場合の含み益が30万円を超えると報じている。

「早く株や投信を買った人はさぞや老後資金を増やしているだろう」──投資をためらった人の多くはそう考えているのではないか。

 しかし、バラ色なのは一部だ。投資信託にしても、不動産投信(REIT)などは昨年、大幅に下落した。

「高齢層に人気の銘柄の中でも、明暗は大きく分かれています。たとえば、2018年の超大型IPOであるソフトバンク(ソフトバンクグループの通信子会社)は、証券会社がなじみの顧客に販売攻勢をかけたので、積極的な投資をしない顧客でも付き合い感覚で多くの人がIPOに参加しています。上場以降値動きがいまひとつで、持ちっぱなしだった人は昨年9月に20%を超える含み損を抱えました。初値付近に戻ったここ数日で“やれやれ売り”をした人も多かったでしょう」(前出・森田氏)

 株価3万円で大儲けしたのは、外国のヘッジファンドや日本の機関投資家、一握りの資産家の企業オーナー、そして株価を買い支えている日銀と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と言えそうだ。

※週刊ポスト2021年3月12日号

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