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【日本株週間見通し】日経平均は一進一退か 外部環境の影響も

 さらに、中国のほか、欧州など世界的に広がっている電力不足の問題にも警戒が必要だ。世界が同時期に一気に脱炭素の動きにシフトした弊害として、石炭、天然ガス、原油などのエネルギー価格が高騰していることが背景にある。ロシアのプーチン大統領が天然ガスの供給増加を示唆したことで、一時的に価格高騰が落ち着く動きも見られているが、在庫が少ないまま電力消費が増える冬場を迎えるリスクは払しょくできていない。エネルギー価格の高騰は企業の生産コストとして重しになるほか、電力不足による工場の操業停止などは実体経済への下振れにつながる。

 今月下旬からは主力企業の7-9月期決算が始まる。4-6月期の決算が良好だっただけに、従来は中間決算での通期計画の上方修正などが期待されていたが、こうした外部環境の不透明感を背景に、むしろ警戒感が高まってきている。決算を期待した先回り買いよりは、内容を確認してから買いたいと考える投資家の方が多いとみられ、決算発表が一巡するまでは様子見ムードが続きそうだ。

 一方、衆院選は19日公示、31日投開票と決まった。日経平均は先週までの間に、菅元首相の退陣表明があった8月末以降の上昇分をすべて吐き出してしまった。むろん、背景には上述したような外部環境の不透明感もあるが、海外投資家の岸田新内閣への厳しい評価によるところも大きいとみられる。改革色が強く海外勢から人気の高かった河野氏が敗れたことの失望感も大きいだろうが、岸田新政権が掲げる金融所得課税の引き上げなど、「成長」よりも「分配」の方が色濃く主張されている点や、「安定」が優先され、成長につながる「変化」の側面が乏しい点などが、失望感を誘ってしまったようだ。

 組閣後の内閣支持率も歴代政権の中では低く、国内でも評価は決して高いとは言えない。野党との支持率の差が大きいため、衆院選での与党大敗というシナリオは考えにくいが、圧勝も期待しにくい状況となった。大規模な経済対策などへの期待がある程度は下支え要因とはなろうが、以前までのような、衆院選投開票日までは株高になりやすいというアノマリーに期待する声は乏しくなった。衆院選を通過するまでは、相場の上値が重くなりそうだ。

 全体的に様子見ムードが強まりやすいなか、小売業を中心に6-8月期決算が終盤に入る。週後半の14日には日経平均への指数インパクトが強いファーストリテイリングの本決算が予定されている。直近の月次動向から株価は軟調が続いているが、22年8月期見通しを受けた株価反応に注目だ。インパクトのある内容となれば、先物主導で指数が大きく動く可能性がありそうだ。

 なお、今週は11日に9月工作機械受注、世銀・IMF年次総会(17日まで)、12日に9月企業物価指数、独10月ZEW景況感指数、米10年国債入札、13日に8月機械受注、中国9月貿易収支、米9月消費者物価指数(CPI)、FOMC議事録(9月開催分)、G20財務相・中央銀行総裁会議、14日に中国9月生産者物価指数(PPI)、中国9月CPI、米9月PPI、15日に米9月小売売上高、米10月ニューヨーク連銀景気指数などが予定されている。

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