日本経済の回復を牽引
財閥系企業が動けば、日本経済も動く。財閥系グループは中核企業を頂点にピラミッド構造で企業群が広がっている。
三菱であれば“御三家”の三菱UFJ、三菱商事、三菱重工業を筆頭に、金曜会の中核26社、系列会社、さらにその下請けや取引先などで約500兆円の売り上げがあるとされる。それは三菱重工に代表されるように国の産業インフラや防衛・安全保障を支える企業が多く、主要な製造拠点が国内に置かれているからだ。グループ内の中核企業ごと、さらには各地の製造拠点ごとに取引先が「三菱協力会」を組織し、全国に網の目のようにサプライチェーンが構築されている。
三井や住友も同じ傾向だ。だから財閥系企業の業績が上がれば、取引先からの調達や発注が増え、製造拠点のある企業城下町にカネが落ち、日本経済全体が底上げされる構造が今もある。経済誌『経済界』編集局長の関慎夫氏が語る。
「財閥系企業は日本の経済・社会の根幹にかかわる企業群です。だからコロナで停滞した経済の底上げを図るには、こうした財閥系企業が牽引していくのが一番効率的です。その財閥系企業が決算で次々に史上最高益をあげて好調ということは、文字通り経済回復を牽引する存在となるでしょう」
コロナからの経済回復が世界より遅れた日本は、先に回復した各国が感染再拡大に苦しむなかで、いまや際立って感染者が少ない。経済的に有利な状況に立つ。
そこに危機に強い財閥グループが経済復興を牽引していけば、「日本独り勝ち」のチャンスなのだ。
※週刊ポスト2021年12月24日号