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デジタル全盛時代にどうして?今あえて「VHSテープ」を求める人たち

デッキはないけど「もう一度見たい」

 懐かしい作品を視聴する目的の人もいる。IT企業に勤務する40代男性・Bさんは、実家暮らし。在宅勤務になって時間の余裕が生まれ、部屋を片付けている時に自分が子供時代に大好きだった作品のVHSテープが出てきたことから、“もう一度見たい”熱にかられている。

「最新作はサブスクで気軽に視聴できるし、レンタルショップでDVDを借りて見られます。ただ、昔の作品は、タイトルによってはVHSしかないこともあるんですよね。中でも私が好きなホラーやアクションものや、カンフー、SF作品は、未DVD化のうえに今となっては入手困難なものも多い。そう考えると、なかなか処分できません。僕ももうVHSテープを再生するデッキは持っていないので、DVDに焼き直そうかと思っています」(Bさん)

知人から録画済みのVHSテープを購入

 その時代の空気感を読み取るうえで、VHSは欠かせないという人もいる。PR代理店で働く30代男性・Cさんは、元々YouTubeで公開されている2000年以前の日常風景、バブル時代の夜、高度経済成長期の建設ドキュメンタリー映像などを見るのが好きだった。

「今の時代にないものを見てみたいという欲求が強くて、昔の映像を探すんです。昔の東京はこうだったのかと、家にいながらにしてタイムトラベルした気分になれて面白い。昔の番組だとナレーションも少し古臭い感じはするけど、今よりも日本語が丁寧できれいという発見もありました」(Cさん)

 そんなCさんはフリマサイトをはじめ、親戚や会社の上司などから、録画済みのVHSテープを購入するようになった。

「見たことがない昔の番組やCMが見られて楽しいんですよね。昔のテレビにはすごく面白いコンテンツがあったことも知りました。ネット上にはないコンテンツを探すのがすっかり趣味になって、コロナ禍でも大忙しです(笑)」(Cさん)

 すでにその役割を終えたと思われがちなVHSだが、現代のデジタル社会にはないアナログならではの魅力を再評価している人たちもいるようだ。

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