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【日本株週間見通し】日経平均は神経質な展開か ウクライナ情勢に警戒

 一方、地政学リスクとならんでもう一つのリスク要因は米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策の行方だ。こちらは、先週のパウエルFRB議長の議会証言で短期的には不透明感がやや後退した。パウエル議長は3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅として0.25ptを支持するとし、0.5ptの大幅な利上げには目先否定的な姿勢を示した。また、ウクライナ情勢やロシアへの経済制裁が米国経済に及ぼす影響は不確実性が高いとし、今後出てくるデータや見通しの変化に応じて機敏に対応すると慎重な姿勢も見せた。

 FOMC前に具体的な利上げ幅について言及してくれたことは、先んじて金融政策の不透明感を払しょくしてくれることに寄与し、相場にはポジティブ。FOMC自体のイベントリスクは後退したといえそうだ。また、バランスシートの縮小(QT)についても、主に償還の到来した債券の再投資を行わない形で進めるとし、売却による積極的な縮小は行わない方針が示された。証言内容は総じて無難だったと評価できる。

 しかし、インフレが過度に進行した場合には0.5ptの利上げもあり得るとしており、金融引き締めペースが加速する可能性が完全に消えたわけではない。そのため、10日に発表される米2月消費者物価指数(CPI)への注目度は高い。市場予想を大きく上回ることがあると、市場が再び動揺しかねない。ウクライナ情勢と並んで米CPIを見極めたいとの思惑も働き、先物・オプション取引に係る特別清算指数算出(メジャーSQ)を迎える週末までは積極的な買いが手控えられそうだ。買い手に乏しいなか、売り手優位の地合いが続くとみられ、相場反発時の安易な買い増しは避けた方がよいだろう。

 物色面では、米CPIを前にハイテク・グロース(成長)株はもう少しの間、我慢の時間が続きそうだ。他方、ウクライナ情勢次第ではあるが、容易には下落に転じそうにない商品市況を背景に、引き続き三井物産<8031>や三菱商事<8058>などの商社関連などに買いが入りそうだ。また、ロシアへの経済制裁による供給網混乱への思惑に加え、3月期末に向けた配当権利取りを意識し、日本郵船<9101>などの海運株も上値追いの動きが続きそうだ。

 今週は7日に中国2月貿易収支、8日に1月景気動向指数、2月景気ウォッチャー調査、米1月貿易収支、9日に10-12月期GDP改定値、2月工作機械受注、中国2月生産者物価指数、中国2月消費者物価指数、10日に2月企業物価指数、2月都心オフィス空室率、ECB定例理事会、米2月消費者物価指数、米2月財政収支、米30年国債入札、11日にメジャーSQ、1-3月期法人企業景気予測調査などが予定されている。

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