田代尚機のチャイナ・リサーチ

BYDが化石燃料自動車の生産終了 新エネルギー自動車シフトを中国企業が牽引

「新興メーカー」に投資したバフェット氏の目利き力

 米国勢、日本勢も、化石燃料自動車では古くから合弁事業を通して積極的に参入しており、各社にとって中国市場の攻略は発展戦略における核心部分となっている。グローバルなトレンドとして環境対策が強化される中、さらに中国企業に引っ張られる形で新エネルギーシフトを加速させている。

 こうした世界の自動車メーカーの中国とのかかわりをみる限り、バイデン政権が進める中国とのデカップリングを追従するような企業は見当たらない。中国市場を失うことは死活問題に繋がりかねないからである。

 BYDがグローバル市場で初めて注目を集めたのは2008年である。この年、ウォーレン・バフェット氏が経営するバークシャー・ハサウェイ社がBYDへの投資を開始したとマスコミが報じ、市場関係者に大きなサプライズを与えた。これまでの買い入れコストは2億3200万ドル。それに対して2021年12月末時点の時価総額は76億9300万ドルに達しており、保有する主要15銘柄の一つとなっている。

 中国ビジネスは一部の産業界だけでなく、金融界、投資家にとっても注目すべき収益源である。

 蛇足かもしれないが、バフェット氏が投資を発表した時点で、BYDはリチウム電池の製造が主体の会社であり、弱小自動車メーカーを買収して自動車業界に参入して間もない頃であった。自動車業界をよく知るアナリストたちの間では、バフェット氏によるこの新興企業(BYD)への投資について否定的な意見が多かったと記憶している。あらためてバフェット氏の目利きとしての能力の高さを再認識せざるをえない。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。

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