住まい・不動産

不動産バブルでも慎重に…高齢者の「自宅売却」が簡単ではない事情

高齢になってからの「自宅売却」は一筋縄ではいかない(イメージ)

高齢になってからの「自宅売却」は一筋縄ではいかない(イメージ)

 仕事も子育ても一段落した定年後、古くなってきた「持ち家」を売って夫婦水入らずの新生活──。そんな“理想の老後“を思い描く人もいるだろうが、現実はそう甘くない。

 東北の郊外に建つ一軒家に住む立花五郎さん(60代男性・仮名)は、自宅の売却について悩むことが増えたという。

「最近、駅前にできたマンションが気になっているんです。子供が独立した今、最寄り駅まで車で20分はかかる4LDKの一戸建てに、夫婦2人では広すぎます。これから歳を取ることを考えると、引っ越すのが正解なのではと妻と話しています。ただ新築で3000万~4000万円はすると聞いて、自宅を売っても足りるかどうか……」

 立花さんのように60歳を過ぎて「老後の住まい」について考える人は多い。若い頃に建てたマイホームも住人とともに歳を重ね、老朽化していく。それに従って、住み替えなどを考える必要性に迫られるからだ。

 特定非営利活動法人「老いの工学研究所」が60歳から91歳までの男女317人に聞いた調査(2016年)によると、現在の住まいを男女とも2割以上が「終の棲家にするのは難しい」「住み替えるつもりだ」と回答しているが、理由は「介護への不安」や「老朽化して使いにくい」などにある。

 寿命がどんどん延びるなか、築年数が経つことで住宅には様々なリスクが生じる。不動産コンサルタントの長嶋修氏が指摘する。

「一般論として、住宅は築30年を超えるとあちこちにガタがきます。水問題に始まり、耐震性不足や、床下のシロアリ問題もある。これらをリフォームで修繕しようとすると、数百万円が必要になることもあります。そのコストをかけて住み続けるか、別の場所に住み替えるかの選択となります」

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