家計

住宅ローンの繰り上げ返済「やっていい時期」「ダメな時期」 住宅系FPが解説

住宅ローンの繰り上げ返済で注意すべき点とは?(イメージ)

住宅ローンの繰り上げ返済で注意すべき点とは?(イメージ)

 住宅ローンをどう繰り上げ返済していくか──。4月に国土交通省が発表した「住宅市場動向調査」(令和3年度)によると、初めての住宅購入(一次取得)で、新築分譲マンションを購入した人(世帯主)の平均年齢は39.5歳。中古マンションの場合、43.6歳となっている。その一方で、住宅ローンの返済期間は「35年以上」が圧倒的に多い。つまり、繰り上げ返済をしなければ、完済する年齢が70歳を超えるケースも珍しくないのだ。

 定年後、収入が少なくなることを考慮すると、現役時代に少しでも住宅ローンを繰り上げ返済しておきたいところだが、いつ、どれくらい返済するのがよいのだろうか。住宅系ファイナンシャルプランナー(FP)の関根克直さんが解説する。

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 人生にはお金を貯める時期と、その貯めたお金を取り崩す時期があります。それは人によって大きく異なるため、住宅ローンの返済も誰にでも当てはまる正解があるわけでなく、ライフプランによって戦略を変える必要があります。

 大前提として把握しておきたいのが、人生の「三大支出」です。大きなお金を取り崩す時期というのは、この三大支出である「教育資金」「住宅資金」「老後資金」がかかる時期になります。ここでポイントとなるのが、同じような年齢で子どもを産んでも、同じ時期に住宅を購入しても、それぞれの家庭によって、貯蓄が増える(余裕がある)時期・貯蓄が減る(余裕がない)時期は異なるということです。

 住宅ローンの繰り上げ返済は、慎重に取り組む必要があります。もちろん早いうちから繰り上げ返済できるのであれば、それに越したことはありません。しかし、子どもがまだ小さいうちに預貯金の残高のみを見て、まだ余裕があるからと、教育費のピーク前に繰り上げ返済しすぎてしまう方は少なくありません。結果、繰り上げ返済後にやってくる教育費のピーク時に家計が破綻してしまう、破綻しないまでも預貯金がギリギリになって、奨学金に頼らざるをえないというケースも出てきます。

 子どもの進学のために奨学金を借りると、返済しなければならないのは子ども自身です。初任給の少ない給料から毎月一定の金額を返済し続けるのは、子どもにとって大きな負担になります。無利子の「第一種奨学金」ならまだよいですが、「第二種奨学金」だと金利が発生してしまい、借りた金額より多くの金額を返済する必要があります。

 住宅ローンの繰り上げ返済を急いだことで、教育費のピーク時に家計が破綻してしまう──。こうしたことは、ライフプランを作成して人生のお金の流れを把握していれば防げることです。ライフプランを作成すると、現在だけでなく、未来のお金の流れも掴めるのが最大のメリットです。

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