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スマホ乗っ取り被害の実態 自宅のリビングでも放置しておくのはリスク大

飲食店のテーブル、自宅でも放置は危険

 スマホはただ持っているだけでも狙われる。ましてや、放置しておくのはもっと危険だ。たとえそれが、家族や友人の前、自宅のリビングでもだ。というのも、スマホが乗っ取られるといった被害は、身近な人間が“監視アプリ”をインストールすることで起こるケースも多いからだと、佐々木さんは言う。

「監視アプリは、子供やお年寄りを見守るために作られたもの。しかしこれを配偶者や知り合いのスマホにインストールし、相手の行動を監視する手口の犯罪が増えています。その目的は、配偶者の浮気調査や好奇心などさまざまです」(佐々木さん)

 こんな事件もあった。ある男が交際女性のスマホに、「盗難防止に役立つから」と、スマホを紛失した際に探すためのアプリを女性の了承のもとインストールした。ところがこの男は、このアプリを悪用し、女性のスマホを遠隔操作して音声・動画をとったり、位置情報の検索などを行っていたのだ。

 スマホは個人情報の宝庫。友人や家族だからと油断せず、彼らの前でも放置は厳禁。普段からロックを忘れずに。

勝手にスマホを見るのは違法行為

 スマホの持ち主の同意なく、勝手にアプリをインストールする──。これは「不正指令電磁的記録供用罪」にあたり、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる。また、アクセス権のないネットワークに侵入する行為にもあたるため、「不正アクセス禁止法違反罪」(3年以下の懲役または100万円以下の罰金)に該当する可能性もある。

 持ち主が寝ている間に、顔認証や指紋認証でスマホのパスワードを勝手に解除したり、盗み見したパスワードで解除したりする行為も不正アクセスにあたる。

 ただし、相手からパスワードを教えてもらっていれば、罪にはならない。また、写真やゲームデータなどを故意に消去するのは、「器物損壊罪」にあたり、3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。浮気調査のためにと配偶者のスマホを見たがる人もいるが、これは違法行為にあたるのだ。

 たとえ家族や恋人など、親しい間柄であっても、気軽にスマホをチェックするのはやめよう。

【プロフィール】
京師美佳さん/防犯アドバイザー・犯罪予知アナリスト。錠前の資格取得、2002年防犯設備士取得。2005年に『京師美佳セキュア・アーキテクト』を設立。2009年に一般社団法人全国住宅等防犯設備技術適正評価監視機構理事に就任し、講演・テレビ・雑誌など多方面で防犯の啓蒙活動を展開中。

佐々木成三さん/犯罪評論家。元埼玉県警察本部刑事部捜査第一課の警部補。 デジタル捜査班の班長として、デジタル証拠の押収・解析を専門とし、携帯電話の精査・各種ログの解析を行っていた。 主な著書に『あなたのスマホがとにかく危ない』(祥伝社)など。

取材・文/川辺美奈子

※女性セブン2022年9月8日号

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