中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

日経新聞の「風呂なし物件が若者に人気」記事に批判が殺到するワケ

かつて中川淳一郎氏が住んでいた家賃3万円の風呂なしアパート。共用廊下は薄暗い雰囲気だった

かつて中川淳一郎氏が住んでいた家賃3万円の風呂なしアパート。共用廊下は薄暗い雰囲気だった

住んで良かったと思うことは何一つなかった

 私はかつて、渋谷駅から徒歩18分の場所にある家賃3万円の風呂なしアパートに住んだ経験があります。風呂なしアパートを経験した者としては、上記批判の通り「仕方なくその物件を借りた」というのが正直なところです。私がその物件を借りた理由はただ一つで、「無職になった」からでした。

 27歳の春に4年間勤めた広告会社を辞めましたが、その先に何があるわけでもない。ただ、会社員という生き方が合わないと思い、とりあえず辞めてフリーランスになりました。となれば固定費を下げる必要がある。そのうえで、突然の打ち合わせの機会をいただけた場合でも動きやすい立地の住まいを求めました。そして実際に風呂なしアパートに住んで考えていたことは、「チクショー! いずれは風呂付きの部屋に住むぞ!」でした。一体、風呂なし物件は何がデメリットなのでしょうか。私の経験から箇条書きにしてみます。

・外に出たくない寒い日は銭湯に行きたくない。だが、翌日大事な会議がある場合行かざるを得ない。湯冷めする
・暑い日に銭湯へ行くと帰りに汗をかいてしまい、結局また体がベトベトする
・営業時間中に銭湯へ行かなくてはならないため、飲み会を早く切り上げなくてはならない
・忙しいとヘタすりゃ1週間風呂に一切入れないこともある
・そういった状況の時、知人宅近くにいると「風呂入らせてもらえませんでしょうか……」と図々しいお願いをせざるを得ない
・自分が貧乏である、という気持ちを常に抱き続ける。特に、高級マンションに住む知人と会った後や、自分の部屋に入った時にそれを感じる
・突然、好きな女性が部屋に来た時にそれ以上何もできない
・銭湯で「ヌシ」的なオッサンから「お前、オレにお湯かかってるんだよ、この野郎」などと怒られる

 ……他にも色々ありますが、正直、風呂なし物件に住んで良かったと思うことは一つもありません。特に寒冷地域であれば、もっとキツいのではないでしょうか。

かつてのシェアハウスの流行と同じ?

 日経の記事内では、ある風呂なしアパートで1部屋部分は共有スペースとし、銭湯1か月分の入浴料回数券を含め、家賃6万円程度の入居プランが紹介されています。このプラン参加をSNSで呼びかけたら、3部屋の募集に20~30代の50人ほどの問い合わせがあったそうです。

 2010年代前半、シェアハウスが流行ったことがありますが、大抵の場合、長続きはしませんでした。若者が「ウェー!」「仲間最高!」的なノリで新しいことを始めると、最初のうちは盛り上がるものの、半年も過ぎれば共同生活が煩わしくなって結局出て行ってしまい、そのシェアハウスは解散する。ええ、私も過去にシェアハウスに住んでいたから分かります。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。