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扶養内で働くときの4つの「年収の壁」 働く時間を増やすかどうかの判断基準は?

今後は106万円に一本化される可能性も

 長らく、健康保険料と厚生年金保険料がかかる基準としては「130万円の壁」が有名でした。しかし、年々扶養の範囲は縮小傾向にあり、2022年10月からは、扶養されている人が従業員数の多い大手企業に勤務する場合だと106万円から社会保険料が発生するように改正されました(※以前は従業員数501人以上だったものが101人以上に変更)。現在の「106万円の壁」に該当する基準は以下のとおりです。

・週20時間以上(契約した労働時間)
・月収8.8万円(年106万円)以上
・2か月以上の雇用期間が見込まれる
・従業員101人以上の会社
(※これらに該当しない場合は年収130万円で社会保険料が発生)

 今後も対象は広がっていく予定で、いずれは「106万円の壁」に一本化されることも想定しておく必要があるかもしれません。

約15%の社会保険料を払うメリット

 では、「106万円/130万円の壁」についてどのように判断していけばよいでしょうか。まず、自身の体調、介護など家庭の事情によって労働時間数を減らす予定があった場合には調整してみるのも一手です。

 一方、少しでも家計の助けになれば、という理由で働いているのであれば、思い切って社会保険料を払う方向を検討してみてください。さまざまなメリットがあるからです。

 まず、健康保険料を払うメリットから考えていきましょう。年齢を重ねると病気やケガなど体調に不安を感じる場面が増えます。健康保険に加入していると、病気やケガで働くことができない場合、給料の3分の2ほどの金額が最高1年6か月分支給される「傷病手当金」の対象になります。これは、民間の生命保険会社の医療保険よりも安くてパワフルな給付です。仕事をセーブして医療保険に加入するくらいならこちらの魅力を再確認してほしいと思います。

 次に厚生年金保険料を払うことのメリットです。いまの寿命は長く、女性が亡くなる人数がもっとも多いのは93歳です(厚生労働省「令和3年簡易生命表」より)。公的年金の「1階部分」の老齢基礎年金に「2階部分」の老齢厚生年金が上乗せされれば受給金額が増え、その権利は一生涯続きます。長生きに備えるお金を準備する方法として、厚生年金はぴったりです。

 年金の受給資格を満たせば、厚生年金保険料を払っていた「期間」とその時期に得た「給料」や「ボーナス」から納めた額がすべて年金の計算に反映されます。短い期間で少ない時給だったとしても、支払ったことは無駄にはなりません。年金批判を耳にして不安になる人もいると思いますが、実際には長生きして納めた以上に受け取っている人が多いのが現実です。

 また、もしも病気や怪我によって1、2級障害が残った場合の一生涯の権利である「障害年金」も2階建てとなり、3級の障害に対する障害手当金という厚生年金だけの給付の対象にもなります。この意味でも、民間の医療保険よりも安くて手厚いという見方ができます。

 家計に関しては、短期・中期・長期のそれぞれの目線が重要です。約15%もの社会保険料が天引きされるので、短期的なデメリットを感じるかもしれませんが、中期・長期的にはメリットがあるでしょう。

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