中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

焼き鳥は「塩で頼むのが通」の風潮はなぜ生まれた? 呑兵衛も「タレで何が悪い!」と大反論

やっぱりレバーには「タレ」が合う

やっぱりレバーには「タレ」が合う

ご飯のお供に、ビールのお供に「タレだったら、どんだけ!」

 ここで一つ考えていただきたいのは、酒が飲めない方々への対応です。酒が飲めない人は、案外焼き鳥屋でご飯を頼みます。その際、「塩」だとおかずとしてのパンチ力が弱い。「タレ」であれば、キチンとしたおかずになり得るのです。「塩偏重主義」はこうした人々の食の嗜好をも、疎外してしまうのです。「あぁ、タレだったらこの白米をよりおいしく食べられるのにな!」と。

 それは当然呑兵衛にも合致するわけで、「あぁ、このビールにタレのレバーの方がどんだけ合うのやろうか!」なんてことを思うわけですね。

 こうした「塩偏重」の考えが生まれた背景には、日本における「素材の味を重視」の思想が影響しているのではないでしょうか。畑で採れた野菜をそのまま食べて「甘~い」とやったり、「塩だけで十分!」なんてコメントを見たことのある方も多いでしょう。

 そのような背景があり、日本では余計な味付けをせず、ひたすら素材と近い形の味付けこそが至高となった。それが焼き鳥の「塩で頼むのが通」という風潮に繋がっているのではなかろうか。

 いや、マジでレバー、タレの方がウマいですよ。あと、ネギ間も塩とタレ、1本ずつ頼むとより楽しめますよ。

 そんなことを考えながら今日も私は焼き鳥屋の暖簾をくぐって「まずは生一杯!」とやるのでありました。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『よくも言ってくれたよな』(新潮新書)。

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