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おひとりさまの相続問題 「控除」は激減、子供が「減税特例」使えないリスクも

 妻や夫に先立たれて控除が減ったなかで活用したいのが「生命保険の非課税枠」だ。

 生命保険の死亡保険金はみなし相続財産として課税対象になるが、相続税の基礎控除とは別に「法定相続人の数×500万円」の非課税枠がある。子供が3人いれば1500万円まで非課税となるのだ。

「遺産総額が基礎控除を超えていて相続税が発生する場合、一時払い終身保険を使うことで節税になりますが、活用していない人が多い。高齢になると保険に入れないという誤解をしている人が多いが、一時払い終身保険では90歳ぐらいまでは加入可能な商品が少なくありません。現預金が多い場合は活用を検討すべきでしょう」(山本氏)

 ここまで見てきたポイントを押さえたうえで、「おひとりさまの遺言書」作りに取りかかることが大切だ。

「そもそも、遺言書というものは作った人が自分の遺産の分け方について生前に行なう意思表示です。遺言がある場合は法定相続分ではなく、遺言者の意思が尊重されます。生前に自分の考えを示すことで、遺産分割の話し合いや手続きを省略しながら、相続人同士の争いを防止できる。

 だからこそ、“2分の1は長男、4分の1を次男に……”といった曖昧な表現ではなく、不動産は物件ごとに誰に相続させるか、預貯金も自分が死んだ時点での残額はわからないので金融機関ごとに誰が相続するかを決めるといい。そうやって、“話し合いの余地”をなくすことが、遺言書を残す最大の目的なのです」(山本氏)

 複数いる子供のうち、“自分の介護で面倒を掛けた子に多く残したい”といった考えも、遺言書を通じて実現できる。その場合も具体的に書くことが大切だという。山本氏はこんな言い方をする。

「逆に言えば、遺言書を残さないと生前の世話に報いることはできません。遺産分割協議で寄与分(*注:被相続人の財産の維持・増加に貢献した相続人が、他の相続人よりも多くの財産を相続できる制度)を主張する仕組みもありますが、他の子供たちがOKしないと認められないし、家庭裁判所に調停を申し立てても生前の貢献を立証するのが難しく、認められるケースはほとんどない」

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