住宅購入の際には、ハザードマップや犯罪発生マップをチェックしておきたい(イメージ)
東京23区では新築マンションも中古マンションも価格が高騰しているが、そうしたなかでの住まい選びに際しては、立地する区やエリアの特性を理解したうえで検討する必要がある。それに際しての注意点を不動産ジャーナリストの榊淳司氏が語った。
「災害への備えという観点も重視されます。23区内に地震に対して絶対安全というエリアはありませんが、比較的強い区と弱い区はあります。首都圏直下型地震を想定した場合、地震の揺れが穏やかなのは武蔵野台地の上にあるエリア。また、建物倒壊危険度が高いのは古い木造住宅が多いエリアで、住宅が密集して道路が狭いエリアは火災危険度が高い。こうしたさまざまな要素を加味すると、相対的に地震に強い区は練馬区、世田谷区、目黒区。弱い区は荒川区、墨田区、足立区という考え方が成り立ちます」(以下、「」内コメントは榊氏)
水害に強い区はどこか
南海トラフでプレート型地震が起きた場合、揺れによる被害は別にして、東京湾は入口が狭く、防潮堤などもあるため東京都下への津波被害はさほど大きくないとされている。東京都下で浸水リスクを考えた場合、集中豪雨による雨を排水しきれなくなって水が溢れる「内水氾濫」に注意すべきという。
「数年前の台風の際、武蔵小杉(神奈川・川崎市)のタワーマンションが浸水し、停電する被害がありました。あれは多摩川が氾濫したのではなく、雨水が排水しきれずに逆流したためで、実際には人災に近い側面もありましたが、そもそも武蔵小杉は土地が低く、水が集まりやすい場所です。かつてグラウンドや工場があった場所がタワマン街になっている。
そういった土地の履歴や高低差を調べて、ハザードマップでしっかり確認すべきです。たとえば江戸川区の南部は、ほとんどがハザードマップ上は浸水危険度が高く、水害が発生すると水没するといわれています。ただ、過去の履歴を調べると明治以降水に浸かったことはないので、そこはリスクが比較的小さいと判断しています」
前述の武蔵野台地の上にあるエリアは、こうした水害のリスクも低いと言えるのだという。
