都心部の中古マンション売り出し価格に変化(イメージ)
東京23区の中古マンション価格の上昇局面が終了したのではないか――そうした報道が出てきている。都心3区(千代田、中央、港)は2025年末頃から価格が頭打ちとなっているという。不動産事業プロデューサーで、『街間格差』(中公新書)の著者・牧野知弘氏(オラガ総研代表)は「ようやくデータに出てきたな、という感想で、だいぶ前からマンションマーケットが変化してきたという印象を持っていました」と受け止める。
「都心部で中古マンション売り出し価格が下落と報じられています、これはあくまで売り主側が希望した価格なんですね。この希望価格ですら落ちてしまったというところにポイントがあるんです」(牧野氏、以下同)
牧野氏が注目するのが、東日本不動産流通機構が発表する「成約価格」との乖離だ。売り出し希望価格(登録価格)と実際の成約価格の間に現在約30%の開きが生じているという。
「業界では“ワニの口”と呼びますが、成約価格は伸びないなかで売主の希望価格だけがどんどん伸びて、折れ線グラフで見るとワニの口が開いていくような状態になっている。どこかで売主側が価格を下げて買い手側にすり寄ってかないといけないほどに開いてしまった状態です」
転売業者と実需層の「すれ違い」
ここまで価格が高騰してきた背景には、中小不動産業者による転売の存在があったと牧野氏は指摘する。
「業者が湾岸エリアの築15年とか20年のマンションを買って、ちょっとリノベーションして半年後ぐらいに売り出す。不動産業者は仲介をする立場なんですけども、仲介するだけだと3%しか手数料をもらえないので、自分で買うようになっていた。対前年同月比で30~40%の値上がりを続けてきたのでそのほうが儲かるわけです。これに味をしめた不動産業者が次々と買っていた。ところが、さすがにここに来て実需層がついてこなくなった」
高騰が続いた結果として、市況が曲がり角に差し掛かっているというのだ。
【プロフィール】
牧野知弘(まきの・ともひろ)/東京大学経済学部卒業。ボストンコンサルティンググループ、三井不動産などを経て独立。オラガ総研代表取締役としてホテルなどの不動産事業プロデュースを展開する。著書に『街間格差』(中公新書)、『外国人不動産問題』(祥伝社新書)などがある。
