中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

上司から部下へ「メシでも食うか」の誘いは令和ではタブーなのか? ビジネス面での効能は大きい

飲みニケーションの有効性を全否定する必要はないのでは(イメージ)

飲みニケーションの有効性を全否定する必要はないのでは(イメージ)

 上司から部下への「メシでも食うか」の誘い──。昭和のサラリーマン漫画で時々登場するシーンだが、令和の時代にはこうした光景を見る機会も減っているように感じる。プライベートの時間を大切にする風潮が出てきたことや、部下を無理やり誘うとパワハラにつながりかねないというリスクもあり、上司・部下の間の“飲みニケーション”自体が減っているようだ。だが、上司と部下が食事することは、ビジネス面で有効な部分も少なくない。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が考察する。

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 会計事務所を経営する50代男性・A氏は、決して保守的な経営者ではありません。リモートワークも歓迎するし、定時不要といった考えを持っており、従業員たちの働き方については、時代の変化に合わせて柔軟に対応しています。それでも、会社の円滑な運営のためには「メシでも食うか」の一言が重要だと感じているようです。

 何しろ、会社の業績が上がり、人員を増やしていくと、個々の従業員の考えがよく分からなくなります。そうした時に一緒に夕飯を食べることにより、考えを知ることができると言います。その際は他の人間はいらず、サシで食事をするのがいいとのことです。

 従業員としても、社長がおごってくれるのであれば、特に予定がない場合は飲食費が浮くわけで歓迎すべき状況。「今時、飲みニュケーションなんて古臭いんだよ!」と思うかもしれませんが、一回飲食をともにすると、ガラリと関係性が変わるとA氏は言います。

 どうもこの15年ほど、「職場の上司が食事に誘うのはパワハラ!」「プライベートの時間は同僚に土足で入ってほしくない!」的な空気感が醸成されました。だからこそ、部下を食事や飲み会に誘うことは憚られる風潮もありますが、結局仕事を円滑に進めるにはコミュニケーションが大事なのは言うまでもありません。

 その時に、食事という媒介があることは大きいのではないでしょうか。会議室に部下を呼び出してワンオンワンで喋ろうとしても部下が緊張するだけ。酒でも飲みながらざっくばらんに飲食店で喋る方が間違いなく会話は進みますし、自分の意見を言いやすくなります。

 もちろん、食事の場で飲めない部下にお酒を強要したりするのはNGですし、そもそも誘いを断られたら、それも受け入れなければならない。そうしたことを踏まえたうえであれば、たとえ令和の時代であっても、上司から部下への食事の誘いをなんでもかんでもタブー視する必要はないと思います。

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