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「何か悪いこと企んでいるんだろう」と睨まれて… 高齢者施設・福祉の現場から漏れる「マイナ保険証」申請・管理への不安

“毒親”のマイナカード申請なんてしたくない

 全国保険医師団体連合会が全国の高齢者施設を対象に行なった調査によれば、マイナカードの申請代理に対応できないとする施設が、全体の93%を占めた。

 援助が必要な高齢者の身元保証や見守りなど、家族代行サービスを展開する一般社団法人LMN(東京都渋谷区)の代表理事・遠藤英樹氏は次のように語る。

「弊社のサービスを主に利用しているのは要介護の方の子供世代の皆さんですが、そのなかにはいわゆる“毒親”に散々な目に遭わされて、“もう親の顔も見たくない”“親と縁を切りたい”とおっしゃる方がたくさんいます。そういうご家族は、親のマイナ保険証の申請等の世話なんて絶対にやってくれません。

 現在、120名ほどの高齢者のお世話をしているのですが、マイナカードを持っている方は2割程度です。私たちが代理で申請するのは不可能ではないのですが、本人の意思確認が必要です。ところがマイナカードやマイナ保険証の説明をしても、『そんなワケの分からないカードを作らせて、悪いことでも企んでいるんだろう!』と激怒されたこともあります」

 患者がマイナ保険証を持っていたとしても、その情報を読み取る端末機がなければ意味をなさない。都内にある訪問診療クリニックの院長は次のように語る。

「マイナ保険証で受診の受け付けをする場合、“オンライン資格確認システム”の端末が使われます。端末機の顔認証機能や、暗証番号を入力することで本人確認が行なわれるわけですが、この端末は我々のような小さなクリニックにはなかなか届かなくて、うちも先週やっと導入できたところです。せっかくマイナ保険証を作っても、対応していない医療機関はまだ少なくない。対応している医療機関については厚労省のホームページから確認できるので、受診前に見ておくといいでしょう。

 また、厚労省は『マイナ保険証を利用することで、過去の薬の処方歴なども確認できる』と喧伝していますが、実際の情報がマイナ保険証に反映されるのには1か月程度のタイムラグがある。今日の処方が明日確認できるわけではないのです。結局現状ではお薬手帳の方が役に立つ。今後の改善に期待するしかないですね」

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