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個人タクシー業界がインボイス制度導入で見舞われた思わぬトラブル 東京と地方の「タク券」請求書をめぐって大混乱

タクシー乗車券(東京都個人タクシー協同組合ホームページより)

タクシー乗車券(東京都個人タクシー協同組合ホームページより)

1人でも理解していないと大変なことになる

「組合同士でやり取りする『タクシーチケットの請求書』でトラブルが出始めているのです」と前出の水野氏は打ち明ける。タクシーチケットを巡っては、複数の主体が取引に関わることになる。

「タクシーチケットは東京の組合が主に発行しています。地方出張に行かれた東京のお客様は、東京で発行されたチケットを使って、地方の組合の個人タクシーに乗る。すると、まずお客様が地方の個人タクシーのドライバーにチケットを渡し、ドライバーはそのチケットを地方の組合に提出してお金もらうんですね。チケットを集めた地方の組合は、次に東京の組合に請求を出して、東京の組合が地方の組合にお金を払います。そして、チケットが集まったら、東京の組合がまとめてお客さんに請求を出します」(水野氏)

 この場合、チケット関連の請求は「地方のタクシー運転手→地方の組合→東京の組合→利用客」という流れになり、それぞれにインボイスが関係してくる。水野氏が続ける。

「その流れのなかで、地方の組合から東京の組合へとチケットの請求をもらう際に『チケットを使ったお客様を乗せた組合員さん(ドライバー)に、免税事業者の方と課税事業者の方がいたら、分けて請求を出してください』とお伝えはしているのですが、しっかり理解されていない地方の組合の方からは分けられずに届くのです。

 そのため、不備のある請求をすべて送り返して対応しています。結果的に、今までの請求書のやり取りの倍以上の時間がかかっている。タクシーチケットが絡むと、様々な場面でインボイスを発行する必要があるため、誰か1人でもインボイスを理解してない人がいると、このようなトラブルが起きるんです。我々は、全国を回って説明をさせていただいたんですが、それでも理解が十分でない組合がまだあります。結局、一つ一つの請求を細かくチェックすることでしか、対応できない状況です」

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