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【郵便事業の窮地】はがき・封書「3割超値上げ」しても翌年には再び赤字転落見込み 焼け石に水で「郵便離れ」さらに拍車か

郵便事業は限界を迎えつつある(日本郵政の増田寛也社長。時事通信フォト)

郵便事業は限界を迎えつつある(日本郵政の増田寛也社長。時事通信フォト)

 総務省は、早ければ2024年秋以降に、はがきや封書などの定形郵便物の郵便料金を値上げする方針を発表した。昭和の終わり頃までは、はがきは40円、封書は60円だった。平成に入ってから、それぞれ50円・80円へと値上げされたものの、その後は大幅な値上げもなく、全国均一の料金ではがきや封書を送ることができた。だが、その郵便事業も、限界を迎えつつある。ベストセラー『未来の年表』シリーズの著者・河合雅司氏が解説する。【前後編の前編。後編を読む

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「郵便離れ」が進む中、封書やはがきの切手代が2024年10月から3割を超す値上げとなりそうだ。

 総務省が情報通信行政・郵政行政審議会に諮問した省令改正案によれば、25グラム以下の定形封書の郵便料金の上限を84円から110円に引き上げる。認められれば、消費税増税時を除き1994年以来約30年ぶりだ。

 日本郵政は、はがきについても63円から85円へ値上げし、レターパックや速達などの料金も引き上げを検討している。

 総務省が値上げを避けられないと判断したのは、日本郵政の2022年度の郵便事業の営業損益が211億円の赤字となったためだ。この数年、黒字幅が縮小していたが、赤字となったのは2007年に民営化されてから初めてである。2023年度も919億円の赤字となりそうだ。

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