なぜ他の社員の机に私の履歴書が…(イメージ)
年々、個人情報の取り扱いに関するルールは厳格化している。そうしたなかで、自分が働く会社の「履歴書のずさん管理」を目にして、退職を決意する人もいるという。退職代行モームリによる新刊『今の会社、ヤバいかも!? 3万人の「もう無理!」でわかる会社の見分け方』より一部抜粋・再構成、モームリに実際に寄せられた相談をもとに、コンプライアンス意識が欠けている“ヤバい会社”の特徴を紹介する。
【相談事例】履歴書のコピーがみんなの机に…
入社時に自己紹介をした際、ほかの社員が私の出身地などを知っていて不思議に思いましたが、すぐに理由がわかりました。社員たちの机の上に私の履歴書のカラーコピーが1部ずつ置かれていたからです。無許可だったので上司に「あれは?」と聞くと、「ああ、説明に便利だから」と一切悪びれる様子のない答えが返ってきました。(製造業・T工業勤務23歳/男性)
【モームリ解説】
個人情報保護法第18条には、個人情報について「あらかじめ本人の同意を得ずに、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて利用してはならない」旨が定められています。履歴書は採用担当者間で閲覧されることが目的ですから、社内に紹介するために配付することは「目的の達成に必要な範囲を超えて」いて、個人情報保護法違反に当たります。
なお、かつては個人情報を5000件以上取り扱う事業者が同法の規制対象でしたが、2015年の法改正により、1件でも個人情報を取り扱う事業者すべてが規制の対象となりました。すでに改正から10年を経ている法令なのに、それが遵守されていないということは、コンプライアンス意識のアップデートが遅れている、あるいはまったくアップデートされていない会社と言えます。パワハラやセクハラ、マタハラなどに対する意識も今の時代についていけていない可能性が高く、ヤバい会社の傾向ありと言えるでしょう。