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大前研一「ビジネス新大陸」の歩き方

《支持率低迷の石破政権》大前研一氏が“最後の目玉政策”として期待する衆院選挙制度改革 「中選挙区連記制」導入なら多様な人材・民意を反映でき、中小政党にもメリット

 3つ目は「安全保障」である。国と国民の安全を守るために、どういう準備をしなければならないのか、ということだ。これは基本的に「外交」と表裏一体の関係にある。外交が巧妙であれば、外敵が少なくなって安全保障の役割は小さくなるが、外交が稚拙であれば、その逆になる。

 以上3つの問題を、いま真正面から論じられる衆院議員は見たことがない。中選挙区制の時代には、たとえば外交なら愛知揆一氏や加藤紘一氏、経済なら近藤鉄雄氏といった“スペシャリスト”がいた。しかし、小選挙区制の下では「天下国家」を論じても票につながらないから、誰も真剣に勉強していないのである。

 それと“同時進行”で官僚たちも小粒になった。かつての大蔵省や通商産業省には「天下国家」を熱く論じて国と国民のために尽くす優秀な官僚たちがいた。

 ところが、2014年に内閣人事局が設置されて官邸に各省庁の人事権を握られてからは、閣僚の国会答弁を徹夜で書く茶坊主のような萎縮した官僚だらけになってしまった。

 いずれにしても、石破首相が参院選後も政権を維持するのは至難の業なので、退陣は時間の問題だろう。しかし、他の議員たちも小粒だから誰が首相になっても同じであり、今の混迷から抜け出すことはできない。それがこの国の悲しい現実なのだが、石破首相には“鼬の最後っ屁”を期待したい。

【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。ビジネス・ブレークスルー(BBT)を創業し、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『日本の論点2025-26』(プレジデント社)、『新版 第4の波』(小学館新書)など著書多数。

※週刊ポスト2025年5月30日号

『新版 第4の波』(小学館親書)

『新版 第4の波』(小学館親書)

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