小泉放出米を買えるだけ買うなんてやめた方がいい
今回知ったんだけど、わが家みたいに農家から直接買ったり、自分の家で作ったコメを家族や親戚にばらまくのを「縁故米」というんだってね。私も上京して45年、スーパーでコメを買ったことがない。江藤拓前農水相の「コメは買ったことがない」「売るほどある」という発言が炎上し、辞任に至ったときは、正直「なんで?」と思ったよね。
次の瞬間、〈5kg4780円のはえぬき〉を思い浮かべて、「まぁ、農水大臣が言っていいことじゃないね」と笑ったけど、その後に登場したのが、ジャーン、小泉進次郎コメ大臣! 総裁選で負けてからこっち、アルバイト先の議員会館ですれ違うとなんとなく元気がないように見えたけど、政治家って光を浴びると人が変わる。備蓄米を「5kg2000円台で売る」とぶち上げただけじゃない。「5kg1800円程度」と畳みかける姿はまさにスター政治家よ。5月30日から申し込みが始まった備蓄米は、その前に放出した古古米よりさらに古い古古古米だから安くなるのは当然という人もいるけれど、このスピード感はさすがよね。
が、しかしよ。私は言いたいの。「“小泉放出米を家族総出で、買えるだけ買う”なんて絶対にやめた方がいいよ」と。
チャーハン、カレー、雑炊なんかは白いピカピカのコメじゃなくてもいいから、〈5kg2000円台のコメ〉の用途はあるっちゃある。でもさ、いちばん悲惨なのはいつもより1000円高くなったコメをつかまされることじゃないからね。
国が備蓄米として適切な環境で古古米、古古古米を保管したところで、家に持ち帰って常温保存をしたら元も子もない。遠くから古くなった糠のにおいがしてきたら最後だよ。さらに、夏の暑さにコメ食い虫が湧いたら完全にアウト!
そんなことにならないように、家の保管米はせいぜい5kg一袋だけにして、丁寧に食べる。これに尽きるよと。
あと3か月たったら新米が穫れて、いまの新米がほどほどの値段の古米になって出回るからねーと、若い日にさんざん虫を湧かせて、ゴミの日に大袋ごと出した私は言いたいのでした。
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。
※女性セブン2025年6月26日号