家族葬で出費がかさむケースも(写真:イメージマート)
超高齢化やコロナ禍を経て、人々の葬儀に関する意識が大きく変化した。意識変化が垣間見えるのが、国内唯一の“終活”専門誌『月刊終活』(鎌倉新書刊)による「お葬式に関する全国調査(2024年)」だ。
回答者が経験した葬儀の種類は「家族葬」(50.0%)がトップ。以下、「一般葬」(30.1%)、「一日葬」(10.2%)、「直葬・火葬式」(9.6%)が続いた。一日葬とは通夜を省き、葬式と告別式、火葬、初七日の法要までを一日で済ませる様式。直葬は通夜、告別式、読経などを省いて火葬のみを行なう。
「2015年の調査では一般葬が58.9%で、より簡素な家族葬は31.3%でした。この10年で葬儀のトレンドが完全に入れ替わりました」(鎌倉新書広報・白井夢乃氏)
家族葬の費用に落とし穴
直葬や一日葬ほどコンパクトではないものの、規模を抑えたい遺族のニーズを捉えているのが「家族葬」だ。通夜、葬式・告別式、火葬まで一般葬と変わらず、参列者は家族や近親者の概ね30人以下の式を指す。鎌倉新書の調査によれば、現在は葬儀の半数を家族葬が占めるほど主流となり、満足度も58.2%と最も高い。だが、『月刊終活』(鎌倉新書刊)編集長の吉住哲氏は、注意点についてこう話す。
「家族葬は身内でしめやかに営めて費用も安価ですが、葬儀後に呼ばなかった遠い親族や故人の親友などの対応に追われる可能性があります。こうした懸念を避けるには、生前に本人が意向を伝えておくことが大切です。また、周辺の家族や親族とのすり合わせや、故人の死を弔いたいと願う人たちへの配慮も忘れないようにしましょう」
家族葬の相場は60万~80万円。この費用についても落とし穴があると白井氏は言う。
「一般葬と近い準備が必要ですが、参列者が限られるので香典は少ない。思った以上の出費になってしまう可能性があります」
参列者の数次第では、一般葬のほうが安く済んだというケースも考えられるという。