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「現金給付こそマイナンバーシステムを刷新する契機」と大前研一氏 参考にしたいインドの国民データベース「アーダール」の仕組み

インドの「アーダール」はどのような仕組みなのか(イラスト/井川泰年)

インドの「アーダール」はどのような仕組みなのか(イラスト/井川泰年)

 参議院選挙では物価高対策として「現金給付案」か「減税案」が争点になった。現金給付となると、事務手続きで地方自治体に大きな負担が生じるという意見もあったが、「そうした問題を解決するにはマイナンバーシステムを刷新するしかない」と指摘するのは経営コンサルタントの大前研一氏。大前氏が新たな国民データベースのかたちを提言する。

 * * *
 7月の参議院議員選挙は、与党が現金給付、野党が消費税の廃止や減税を公約に掲げるという“バラまき合戦”だった。

 与党惨敗でひとまず現金給付案は消えたが、当面の物価高対策として、なおも現金給付が実行に移される可能性はあるだろう。

 しかし、現金給付はあまりにも非効率だ。たとえば、新型コロナ禍の時の現金給付では、申請書類の偽造による不正受給が相次いだ。

 中小企業庁が認定・公表した不正受給者数と総額は、持続化給付金が2442者・約25億円、家賃支援給付金が130者・約3億7200万円、月次支援金が52者・約481万円、一時支援金が11者・約313万円、事業復活支援金が4者・約246万円に上っている(本稿執筆時点)。

 また、石破茂首相が参院選の選挙対策として国民1人2万円、子供と住民税非課税世帯に2万円を上乗せ給付することを打ち出した時、千葉県の熊谷俊人知事はフェイスブック(2025年6月14日)やXなどで、こう苦言を呈している。

「それを実施するのは全国の市町村公務員です。選挙直前、あまりに露骨な選挙対策になぜ貴重な市町村公務員が疲弊しなければいけないのか、この国はどうなってしまったのか、本当に空しい気持ちでいっぱいです」

「全市町村の職員が説明会に駆り出され、『いついつまでに給付しろ』と言われて、全く同じ作業をそれぞれの自治体がバラバラに行い、バラバラに業者に発注し、本来の市民福祉等に充てるべき職員稼働と、国民の税金が膨大に奪われます」

「上乗せ給付される非課税世帯の約75%は年金受給の高齢者で、その中には一定の金融資産を持っている人も少なくありません。高齢者に配り、現役世代が将来負担する、そんな構図です」

 けだし正論である。NTT出身の熊谷知事は私が創設したNPO(特定非営利活動)法人のネクストリーダー養成学校「一新塾」も卒塾しており、選挙の応援演説に行ったこともあるいわば“身内”だが、この発言は客観的に見て実に真っ当だ。

 事務手続きを手作業に頼る現在のアナログなシステムでは地方自治体の職員は給付手続きに忙殺されてしまうし、住民税非課税世帯への一律上乗せ給付は年金受給の高齢者が主な対象となり、相対的に現役世代の負担がますます重くなるように作用する。そうした問題を解決するためには、今のお粗末なマイナンバーシステムを葬り去り、ゼロベースで新たな国民データベースを構築するしかない。

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