なぜ日本の大学は「優秀な留学生の受け皿」に選ばれないのか(イラスト/井川泰年)
トランプ大統領の政策によって、アメリカの有名大学で留学生受け入れ停止の動きが広まっている。日本の大学はそうした学生に対し支援を検討しているというが、優秀な留学生がなかなか日本に来てくれないという現実がある。その背景に何があるのか、経営コンサルタントの大前研一氏が解説する。
* * *
トランプ大統領が1月の政権発足後に行なった留学生ビザ(査証)の取り消しが続いている。ハーバード大学に対しては留学生受け入れ資格を停止し、コロンビア大学にも教育省認定の所管団体が大学の資格を満たしていないと警告した。
その理由は「アメリカの外交政策と国家安全保障上の利益に敵対する」というものだ。パレスチナを支持する反ユダヤ主義の留学生、中国共産党とのつながりがある中国人留学生などが主な対象とされるが、それとは関係のない日本やインドなどからの留学生にも多大な影響が出ている。
このため、東京大学、京都大学、大阪大学など日本の大学は、アメリカで学業や研究が困難になった留学生や研究者を一時的に受け入れる方針を表明。文部科学省によると、6月5日時点で約90大学がアメリカの大学で学ぶ留学生の受け入れや奨学金給付などの支援策を決めたという。