「受動感覚」を「能動感覚」に変える
しかし、「意味を感じられる行為」だなんて、なんだか難しそうに思うかもしれません。でも実は、そう難しいことではありません。
簡単な実験をしてみましょう。人差し指で、自分の頬に触れてみてください。「頬に指が触れた」と感じましたか? これは、触覚を受け身で感じている受動感覚です。
では今度は、指の方に意識を向けてみましょう。「指で頬に触っている」と感じてみてください。指先で頬の肌の表面が感じられたと思います。これは、積極的に指先の触覚を働かせた能動感覚です。
受動感覚は、刺激そのものが主体になります。触られた感覚に注意を向けて、「指が触れた」と理解します。本当に頬に触れているのが指なのかは、受動感覚だけでは分かりません。「分かったことにする」だけです。それに対して、能動感覚は、あなた自身が主体になります。「自ら頬に触れた」と理解します。
これが脳にとって「意味を感じられる行為」です。行為を通して、知らないことを知る、分からないことが分かると、心は充足感で満たされます。
簡単に言うと、多忙感を解消するために私たちがやるべきことは、受動感覚を能動感覚に変えることです。能動感覚で、行為をしている主体感を得れば、心は充足感で満たされます。頬に指先で触れたときのように、私たちの意識ひとつで受動感覚は能動感覚に変えられます。この小さな転換を日常に広げていきましょう。