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キャリア
脳のパフォーマンスを低下させる「多忙感」

「今集中していたのに」「あの人はいつもタイミングが悪い」…ちょっとしたことでイライラするのは「多忙感」の“ステージ2” 無気力で動けなくなる“最終段階”まで悪化させないよう注意

仕事中に眠気が襲ってくるとき、脳はどのような状態なのか(イメージ)

仕事中に眠気が襲ってくるとき、脳はどのような状態なのか(イメージ)

 なんとなく気分が落ち着かない。些細なことにイライラする。そして気づけば、頭が働かず、何もできなくなっている──。なぜこんな状態に陥ってしまうのか。作業療法士であり脳の仕組みの専門家・菅原洋平氏は、この状態を「多忙感」と呼ぶ。やることが実際に多い「多忙」ではなく、多いと「感じてしまう」状態だ。多忙感の恐ろしさは、放置すると段階的に悪化すること。菅原氏の著書『多忙感』を一部抜粋・再構成して、多忙感がどう始まって悪化していくのか、その仕組みを解説する。【第3回。第1回から読む

多忙感はどこから始まるのか

 多忙感はどのようにして私たちの生活に忍び込んでくるのでしょうか。実は、その始まりはとても身近なところにあります。

 こんな経験、ありませんか?

・単語の意味を調べようと思って → スマホでSNSの投稿を見る
・資料を作ろうと思って → メールをチェックする
・夕飯のレシピを調べようとして → 動画を見る

 やろうと思ったことと違うことをしてしまう。実はそんな小さなことでも脳には疲労がたまっていきます。

 脳が一度に処理できる情報量には限界があり、予測を裏切る行動を繰り返すと容量オーバーになって少しずつ疲労します。

 多忙感とは、「脳が疲れているときに外乱に過剰反応している状態」のことですから、この小さな疲労が、多忙感の入り口です。そして放置すると、多忙感は段階的に悪化していきます。

次のページ:脳の疲労の予兆は「眠気」
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