直前まで考えていたことをうっかり忘れてしまうのはなぜか(イメージ)
「あれ? 何を調べようとしていたんだっけ?」知っているはずのことが思い出せない。連絡を受けていたはずなのに、内容が頭に入っていなかった。気づいたら予定時間を大幅にオーバーした──。作業療法士であり脳の仕組みの専門家・菅原洋平氏は、これらを「多忙感」の症状だと指摘する。多忙感とは、やることが実際に多い「多忙」とは違い、やることが多いと「感じてしまう」状態のこと。この状態が進行すると、脳は様々な症状を引き起こし、パフォーマンスを低下させる。多忙感が脳に何をもたらすのか。菅原氏の著書『多忙感』から、一部抜粋・再構成して解説する。【第4回。第1回から読む】
目次
多忙感がもたらす3大症状
病気ではないし、仕事を休むほどではない。でも、サクサク行動できない。なぜだろう。それは、多忙感に脳が支配されているからなのです。
現代の私たちは、主に「物忘れ」「ボーっとする」「あっという間に時間が過ぎる」という、3つの多忙感由来の症状に悩まされています。
多忙感3大症状【1】「物忘れ」
「あれ? そもそも何を調べようとしていたんだっけ?」
スマホを開いてなにかを検索しようとしたのに、調べたかったことを忘れてしまう。他にも、会話の途中で、知っているはずの単語が出てこなくて、もどかしい思いをする。よく知っている人の名前が、とっさに出てこない。
こんな「ちょっとした物忘れ」が増えていませんか? これらはすべて、「ワーキングメモリ」という脳の機能がうまく働かなくなっているサインです。
ワーキングメモリは「今必要な情報を一時的に保持して、すぐに取り出す」能力のこと。現代の私たちが常に使っている、とても重要な機能です。
前回記事で説明したミクログリアの暴走によって真っ先に攻撃されるのが、このワーキングメモリなのです。
