「別れたってひとりで生きていけるもん」
原田:その点、規梭子さんはずっと大学の教授をやっていたから、年金なんて俺の何倍も貰ってるからなぁ(苦笑)。
規梭子:大二郎さんとケンカになっても、「冗談じゃないよ、別れたってひとりで生きていけるもん」っていう思いがあるからね。私は73歳まで仕事(東洋学園大学学長)をしていたでしょ。このことについては、大二郎さんに感謝してる。
原田:そうなんだ。
規梭子:普通は大学も65歳が定年なんだけど、副学長で延長になって、学長を打診された時に、「どうしよう、自信ないな」って相談したら、「どんどんやれ」って背中を押してくれたでしょ。だから、思い切ることができた。
原田:可能性を伸ばしてほしいからね。諦めないでほしかった。もう成長しなくていいやっていう、「諦める心」は捨てたほうがいい。70代になっても青春を続けるというか。
規梭子:だからなのかな、73歳で仕事を辞めた時、それこそ心にぽっかり穴が開いた。どんな人も身体の動くうちは、働いていたほうがいいと思う。
原田:お金を稼ぐとか関係なく、ボランティアでもいいから社会と接点を持っていたほうがいいだろうね。俺はいまだに舞台の稽古をしてる。
規梭子:振り返ってみると、私たちは何かを増やすより、余計なものを一つずつ捨ててきただけなのかもしれないわね。若さも、実家も、こだわりも。捨てるのは寂しいけれど、70代になって目の前にいる人や今の時間が、はっきり見えてきたって感じなんだろうね。
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※週刊ポスト2026年2月6・13日号