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学校・会社から芸能界まで「組織で受け継がれてきたいじめ問題」を解決するカギは“棚橋弘至氏の姿勢”にある 「昔はこれくらい当たり前」という考えからどう脱却するか

新日本プロレス社長・棚橋弘至氏の姿勢から学ぶべきこととは

新日本プロレス社長・棚橋弘至氏の姿勢から学ぶべきこととは

 それは「いじり」なのか「いじめ」なのか――。先日、お笑い芸人の中山功太が、ある先輩芸人から長年いじめを受けていたと配信番組内で告白。それがサバンナの高橋茂雄であることが明らかになり、高橋が謝罪、中山との和解に至った。また、あのは地上波の深夜番組で「嫌いな芸人」として鈴木紗理奈の名前を挙げ、そのことを知った鈴木がSNSで〈普通にいじめやん〉と一刀両断、あのは番組降板の意思を表明するなど、波紋を広げている。

「いじめ」「嫌い」などの行動や発言に、一体何の「メリット」があるのか。千葉商科大学教授で、働き方研究家の常見陽平氏が考える。

芸能界という「職場」で続いてきた「いじめ」

 いま改めて考えるべきことがある。「いじり」と「いじめ」、「指導」と「支配」、「笑い」と「暴力」の境界だ。坂倉昇平氏の著書『大人のいじめ』(講談社現代新書)によると、大人のいじめは、職場や組織の論理と深く結びついている。背景には、単なる個人の性格の悪さだけではなく、長時間労働、過酷な労働環境、管理者の放置、そして労働者を従属させる経営の論理があると指摘する。

 芸能界を「職場」と捉えると、中山は高橋から「いじめ」だと思い続けてきたことを、“犯人探し”がされればわかる状態で発信した。あのは、鈴木が不在という場で(おそらく番組サイドの意向を受けるかたちだろうが)一方的に名前を挙げた。

 これらの言動がネットニュースを騒がせていることからわかるのは、芸能界に根強く「いじめ」が残っていること、そして「いじめはよくない」「悪口はよくない」と言いつつも、みんなが注目を集めるテーマであるということだ。今や「オールドメディア」と呼ばれてしまうテレビの世界においては顕著である。

 そして、ウェブメディアは「コタツ記事」でテレビのニュースを消費し、SNSがそれを拡散する。私は働き方を研究してきた立場から、いじめを「学校の問題」だけで捉えることには違和感がある。むしろ、「大人のいじめ」は、職場、業界、組織文化の中で再生産される。芸能界もまた、ひとつの職場である。

 いじめは、根深い。最悪なのは、悪意がない、本人たちがそれをいじめだと気づいていない場合である。加害者の理屈は「鍛えてやっている」「社会の厳しさを教えている」「愛情があるから言っている」などだ。こうした言葉によって、暴力や人格攻撃が正当化されてしまう。あのの発言も、番組上の“本音トーク”として処理される一方で、名指しされた側には別の受け止めがあるだろう。

 それが、テレビでは脈々と続いてきた。たとえば、「嫌いな芸能人ランキング」。毒舌タレントのように、“不快感”を売り物にしている芸能人もいるが、これらの人は「叩いてもいい人」認定されてきたようなものである。

「学校のいじめはよくない」などと啓発しつつ、これによる悲しい事件を報道しつつ、一方でテレビは「いじってもいい」「いじめてもいい」「叩いてもいい」芸能人を認定しているようにも見える。「嫌いな芸能人」「叩いてもいい存在」だけでなく、「いじる」「かわいがる」というムーブが視聴者に複製されてきたのだ。

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