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学校・会社から芸能界まで「組織で受け継がれてきたいじめ問題」を解決するカギは“棚橋弘至氏の姿勢”にある 「昔はこれくらい当たり前」という考えからどう脱却するか

働き方研究家の常見陽平氏

働き方研究家の常見陽平氏

棚橋弘至氏に学ぶ「終わりにしよう」という姿勢

 ここで思い出したいのが、新日本プロレスの社長で今年、プロレスラーを引退した棚橋弘至氏である。

 棚橋氏は、プロレス界に科学的な筋トレの発想を持ち込み、道場の空気をより健全なものへと変えていった存在として語られている。かつてのプロレス道場には、根性、しごきがつきものだった。もちろん、それがすべて悪だったと単純化するつもりはない。だが、棚橋的な転換の意味は大きい。強くなるために、殴る必要はない。育てるために、人格を壊す必要はない。身体を鍛えることと、人を傷つけることは違う。むしろ、科学的で、合理的で、健全な環境のほうが、人は伸びる。「こういうのは、これまでの代で終わりにしよう」そんな姿勢が大切だ。

 これはプロレスに限らない。会社にも、芸能界にも、大学にも、体育会にも必要な発想であり、一部では実践されている。

 たとえば、体育会は、変わりつつある。もちろん、暴力、薬物などの不祥事はあった。報道されるたびに、私たちは暗澹たる気持ちになる。だが一方で、「昭和の体育会系」から「科学系」へと変わろうとする体育会は多い。ビデオでフォームを解析し、データで課題を洗い出し、選手を育てる。怒鳴るより、観察する。殴るより、分析する。気合いより、再現性を重んじる。これは、実に重要な変化である。

 かつて「体育会系」といえば、理不尽に耐えること、上に絶対服従すること、声を出すこと、空気を読むことで成立していた側面があり、それが連綿と受け継がれてきた。だが、本当に強い組織は、もはやそんなところにはない。強い組織ほど、言語化し、可視化し、再現可能にする。暴力ではなく、技術で育てる。恐怖ではなく、信頼で動かす。大人のいじめを考えるうえでも、この転換が必要だ。

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