freeeはなぜ、赤字でも売上の拡大を優先しているのか。
一ノ瀬君:たしかにすごい赤字を出しながら売上を大きく伸ばしているね。売っても赤字になってしまう商品なら、売上を伸ばしても意味がない気がするんだけど、何か理由があるってことだよね。
妄想さん:なぜでしょう?
一ノ瀬君:なんでだろう……。わかんない。
妄想さん:答えは時間軸です。
決算書は1年間の成績を示す通知表のようなものですが、企業自体は1年で終わりではありません。長期的な継続を前提にしています。つまり、利益の最大化とは、1年間ではなく長期的な視点で考える必要があるということです。
一ノ瀬君:……ということは、freeeは赤字で商品を販売して、長期での「利益の最大化」を目指しているってこと?
妄想さん:そのとおりです。そのねらいを理解するために、SaaSのビジネスモデルを見ていきましょう。
まず、売上はサブスクリプション形式で月額課金や年額での課金となっています。一度契約してもらえれば一定期間の継続利用が期待できるビジネスモデルです。
freee会計のプラン(『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』より)
一ノ瀬君:「ストック型収益」ってやつだ。継続して課金してもらえるモデルだから、時間軸は長く考えられるね。
妄想さん:いい着眼点です。売上はどのように分解できると思いますか?
一ノ瀬君:売上高=(課金)ユーザー数×(契約)単価かな。
妄想さん:すごい! 冴えてますね。おおむねそのとおりです。
2025年6月末時点での有料課金ユーザー数が60万6533、単価は5万6704円で、2025年6月期の売上高は332億円でした。
ユーザーは法人と個人に分解できますが、それぞれの単価は法人が11万4072円、個人が2万652円と大きな差があります。
一ノ瀬君:なんでそんなに違うの?
妄想さん:会計・人事労務・請求業務など多様なサービスを展開していて従量課金ですから、法人のほうが利用するサービス数やユーザー数が多いため、単価に大きな違いがあります。
一ノ瀬君:ということは、単価の高い「法人顧客の獲得」が重要なんだね。
