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ビジネス
妄想する決算「未来を読み解く決算書」

「毎年、数十億円単位の赤字だったけど…」会計サービス・freeeが巨額の赤字を出し続けながらも売上の拡大を優先してきた理由を解き明かす

freeeのARPU(1ユーザー当たりの平均売上)の推移(『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』より)

freeeのARPU(1ユーザー当たりの平均売上)の推移(『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』より)

妄想さん:ちなみに、法人の契約単価は毎期大幅に上昇していますが、個人は微増傾向となっています。なぜ増加率に差がついていると思いますか?

一ノ瀬君:そうだな……。さっき、法人のほうが利用するサービス数が多いって言ってたよね。法人は会計を使い始めたら、次は人事労務、次は請求業務みたいな感じで使うサービスが増えて単価が上がりやすいってことかな?

妄想さん:よりグレードの高い商品やサービスへの乗り換えを促すことを「アップセル」、別の商品やサービスの追加購入を促すことを「クロスセル」と呼びます。「アップセル」や「クロスセル」が進みやすい商品やサービスは、売上の伸びしろが大きく、企業の成長余地を考えるうえで、重要なチェックポイントになります。

一ノ瀬君:freeeのサービスはアップセルもクロスセルも進みやすそうだね。

妄想さん:バックオフィス系のサービスは1つにまとめたほうが楽なのでクロスセルが進みやすいですし、企業が成長すると従業員も増えてID数も増えます。より高単価のサービスに移る可能性が高いため、アップセルも期待できます。つまり成長の可能性が高いということですね。

一ノ瀬君:法人顧客が成長すれば、売上が伸びていくのか。

妄想さん:ちなみに、継続課金が基本のSaaS企業では、売上高より「MRR(月次経常収益:1か月の課金額の合計)」や「ARR(年間経常収益):MRRを12倍にした、いま時点での契約が1年間続いたときの予想売上」といった時間軸を変えた指標が重視されます。

freeeの売上高(年度、四半期)とARR(四半期末)(『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』より)

freeeの売上高(年度、四半期)とARR(四半期末)(『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』より)

一ノ瀬君:継続課金だから「年間売上予想」みたいな時間軸を変えた指標のほうが実力値がわかるってことなんだね。

妄想さん:そのとおりです! 継続課金が行われるビジネスでは、時間軸を重視して数字を見られていることがわかると思います。ところでサブスクリプション型のビジネスにおいて、売上の拡大に重要なことは何だと思いますか?

一ノ瀬君:それはもちろん、ユーザーの獲得!

妄想さん:正解です。ただもう1つ重要なポイントがあります。

一ノ瀬君:ええ? 何だろう……。

次のページ:SaaSのようにサブスクリプション型のビジネスで売上拡大に重要なのは、ユーザーの新規獲得のほかに何がある?

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