中古マンション市場の変化を見極めるには、街ごとの価格や売れ行きの変化に目を向けることが重要になる(写真:イメージマート)
近年、都心部を中心に高騰を続けてきた中古マンション市場に、調整の兆しが見え始めている。不動産調査会社・東京カンテイによると、東京都の8月の中古マンション売り出し平均価格(70平米換算)は1億1274万円となり、28か月ぶりに下落した。とはいえ、市場全体が一律に値下がりしているわけではなく、価格や売れ行きにはエリアによって差がある。長期の住宅ローンを組んでマイホームを購入したのに、将来、資産価値が大きく目減りする事態は、なんとしても避けたい。その「下落リスク」を見極める手がかりのひとつとなるのが、地域ごとの中古マンションの“売れ行き”だという──。
マネーポストWEBでは、不動産ビッグデータをAI解析するエステートテクノロジーズの協力のもと、中古マンションの売り出しから成約までの「販売日数」を首都圏の駅ごとに算出。前年と比較し、販売期間が長期化した割合を「悪化率」として独自の「危ない駅ランキング」を集計した。
ただし、販売期間が長期化しているからといって、その駅の不動産価格が必ず下落するとは限らない。売り出し価格が相場に比べて強気に設定されているケースや、物件数が少ないため数値が大きく振れるケースもある。ランキングを読み解く際には、こうした事情も踏まえる必要がある。年間200件以上の物件を取材する住宅評論家・櫻井幸雄氏は、販売が長期化している駅には「売主が強気な価格設定をする人気エリア」と「さほど人気がなく価格も上がっていないエリア」という2つの傾向があるとみる。
より“危ない”のは異常に高騰した人気エリア
「私としては、前者のほうが“危ない駅”といえるのではないかと思います。人気の高まりを受けて中古マンション価格がどんどん上がっているエリアには、投資目的の購入者が集まってきました。日本人にとっては“高すぎる”と感じる売り出し価格でも、円安の恩恵を受けた外国人投資家が購入するという状況がこれまで続いてきました。
中古マンションの高騰を牽引してきたのは都心部や湾岸の人気エリアですが、2010年代半ばには『都心のマンションなんて買うもんじゃない』とか『湾岸のタワマンは地震が来たら津波で潰れる』などと言われており、価格は現在よりもずっと安かった。2020年以降、投資マネーが集中して異常ともいえる高騰が続きましたが、2024年頃から潮目の変化がみられ、これまでのような価格上昇は見込めず、売り物件が増えることで値下がりの可能性もあります。そういう人気エリアで高値づかみをした人は、はしごを外されてしまえば売るに売れなくなってしまう。購入時よりも高く売れなければ投資として成り立ちませんからね」(以下、「」内は櫻井氏のコメント)
一方で、大幅に下落するリスクが比較的小さいエリアもあるという。
買い手にとってプラスなのは…
【プロフィール】
櫻井幸雄(さくらい・ゆきお)/1954年生まれ。住宅情報誌の記者を経て独立。年間200件以上の物件を取材し、首都圏だけでなく、近畿圏、中部圏、福岡、札幌など全国の住宅事情に精通する。『不動産の法則 誰も言わなかった買い方、売り方の極意』(ダイヤモンド社)など多数の著書がある。
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取材・文/剣慧人
