大前研一 「ビジネス新大陸」の歩き方

日本人の給料を上げるには? 大前研一氏が提言

 また、今の日本企業は欧米企業に比べてホワイトカラーの生産性が低いし、給料を上げなければ人材が競争相手に流出するわけでもない。そういう状況下では、経営者から見ると、賃上げする理由はないのである。

 おまけに、昔は労働組合が勝ち取る「特権」だった残業が、今では「働き方改革」で長時間労働はNGになった。残業代が少なくなれば、ますます手取りが減る。残業時間の上限が月平均60時間に規制されると、残業代は最大で年8兆5000億円減少するという試算もある。

 安倍首相の続投で、おそらく日本経済はどんどん悪化し、ますます給料は減るだろう。そういう中で高い給料を得ていくためには、ITスキルを磨き、ビッグデータやクラウド活用によって成果を出せるようになればよい。そうしたクリエイティブな人材になれば、様々な業界から引く手あまたになるはずだ。

 ただし、日本企業の多くはクラウド活用などの面で海外の企業に後れを取っているため、そのスキルは独力で学んで身につけなければならない。要するに、これからの時代に必要とされる人材になるためには、自分自身で「稼ぐ力」を磨くしかない、ということだ。

※週刊ポスト2017年12月8日号

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