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先送りされた年金の財政検証 制度維持のため「死ぬまで働く社会」を提唱か

 これらが象徴するように、政府は今、年金制度維持のために給付期間を短縮することで帳尻を合わせようと躍起になっている。

 現在の年金支給開始年齢は原則65歳だが、受給開始を60歳から70歳の間で自由に選べる制度となっている。それを75歳まで繰り延べて選択可能にするというのが、政府の次の一手だ。

 そして、年金受給を繰り下げれば割増しとなって受給額が増えると謳って、事実上70歳代から受給を開始する人を増やしていく。そのうえで、「みんながそうしているのだから」という機運を高めて、最終的に支給開始年齢自体を原則70歳に繰り延べすることを狙っている。

 現在、65歳時点の男性の平均余命は17年だ。支給開始を原則70歳にすれば、男性の平均受給期間は17年から12年に減り、3割カットできることになる。それなら年金制度はギリギリ崩壊せずに済むというのが政府の思惑なのだ。

 しかし、このまま政府の目論見通りになったら、国民の老後はどうなるのか。男性の健康寿命は72歳である。70歳まで働いてようやく年金をもらえるようになり、これから悠々自適の老後が送れると思っても、わずか2年後には介護施設などに入所しなければならなくなる人が大半となる。そんな老後で本当に幸せだろうか。

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