住まい・不動産

高級住宅街の代名詞「田園調布」 庶民が住む余地はあるか

並木通りから見る田園調布の復元駅舎

並木通りから見る田園調布の復元駅舎

 住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「田園調布」(東京都大田区)について、ライターの金子則男氏が解説する。

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 麻布、広尾、松濤、番町、成城など、都内にはいくつもの高級住宅街がありますが、全国的にもっとも有名なのは田園調布ではないでしょうか。一帯には元首相、プロ野球史に残る名選手、国民的歌手などが居を構えており、ため息をつきたくなるような豪邸が立ち並んでいます。駅に降り立っただけで、高級感が手に取るように分かる田園調布ですが、庶民には到底手が届かない街なのでしょうか?

 鉄道は東急東横線と目黒線の2線。東横線が東京メトロ副都心線に、目黒線が東京メトロ南北線および都営三田線に乗り入れており、鉄道の便は極めて良好です。駅構内は広々として清潔感が漂い、欧州中世紀の民家をモデルにしたと言われる旧駅舎も復元されていて、高級住宅街の玄関口に相応しい作りになっています。

 道路状況はボチボチです。駅のすぐそばに環八(環状八号線)が通っており、横浜方面に向かう第三京浜の入り口はすぐ近くですが、首都高速の出入り口からはやや距離があり、都心からは意外と時間が掛かります。東名自動車道の入り口(東京IC)までも、道が空いていれば10分程度ですが、日中や週末は猛烈に混み、高速に乗るまでにウンザリ。ただ、街が坂だらけなことや、スーパーが少なく買い物に遠出する必要が生じることを考えると、車は欲しくなるでしょう。

“本当の田園調布”には到底手は届かないが…

 地図を見ると、田園調布駅の西側は放射線状に道が広がっており、綺麗に整備されています。この一帯は、新一万円札に採用されたことですっかり有名になった実業家・渋沢栄一が整備した場所で、サンフランシスコ郊外の住宅地をモデルにしたもの。ここがいわば“本当の田園調布”ですが、一般人がここに住むのはまず無理です。地元の自治会によって、敷地の広さ、建物の高さ、屋根、外壁、門扉、植栽などに関する厳しいルールが定められており、とても庶民の手が届く場所ではありません。

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