駅名板には「お」が3つ並ぶ大岡山
住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか？ まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は？ 今回は「大岡山」（東京都大田区）について、ライターの金子則男氏が解説する。
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東急電鉄は東横線や田園都市線など、首都圏屈指の人気路線を抱える鉄道会社ですが、路線図を見ると、とりわけ路線が込み入っているのが大岡山付近。「おおおかやま」と読み、駅名板には「お」が3つ並びます。駅の住所は大田区ですが、「大岡山」という住所は目黒区。なお、京急には「上大岡」という駅がありますが、そちらとはまったく無関係です。
鉄道は、東急の大井町線と目黒線が交差する東急電鉄の要衝です。大井町線で自由が丘まで3分、二子玉川まで10分。渋谷まで自由が丘経由で約15分。目黒線は都営三田線や東京メトロ南北線に乗り入れており、日比谷、大手町、永田町など、オフィス街まで乗り換え無しで通えます。近辺には東急の駅が密集しており、隣駅の北千束、洗足、緑が丘、東横線の都立大学、東急池上線の洗足池や石川台なども十分徒歩圏内。住む場所によって複数の路線や駅を使い分けられます。
道路状況は今ひとつです。駅は幹線道路に面していないものの、環七（環状七号線）や中原街道が近く、その点は便利ですが、そこまで出るのが一苦労。道はあまり広くない上に一方通行が多く、商店街は時間帯によって車両通行止めになるので、不満を感じてしまうかもしれません。
オシャレすぎず、庶民的すぎず…
大岡山の大きな魅力はバランスの良さだと思います。駅の目の前に名門・国立東京工業大学がある学生街なので、安くて美味しい店があり、ラーメン屋も名店ぞろい。活気がありながら、秀才揃いの東工大生は品が良く、悪い意味での“学生街っぽさ”はありません。駅を少し離れれば閑静な高級住宅街が広がり、センスの良い飲食店、パン屋、雑貨店などが裏道にあるのは、東急沿線ならではでしょう。
