「いつも決まったメニュー」は要注意!
では具体的に、どんな症状があれば病院にかかった方がいいのだろうか。代表的なのは“物忘れ”だ。
「聞いたことをすぐ忘れてしまう、探し物が多い、約束の時間を間違うといった記憶障害が増えてきたら要注意。手順通りに物事をできなくなる人もいます。例えば、使いなれている家電が使えない、いつも料理をしていた人が作らない、いつも決まったメニューしか出てこない場合は疑いましょう」(井関さん)
実際に、山口さんの母も料理が得意だったが、だんだん料理を作らなくなっていった。
「豚の角煮を作ると言って、バラ肉ではなく角煮にできないようなもも肉の塊を買ってきました。指摘すると『ラードと一緒に煮てしまえば大丈夫』と言うので、愕然としたのを覚えています。でも認めたくない思いがあったんです」(山口さん)
なかには、「人柄が変わってくるケースもある」と井関さんは言う。
「つまらないことでイライラする、口をはさまなかった人がうるさくなった、やろうとしていたことを途中で投げ出してしまう、お葬式の最中に冗談を言って笑うといったケースも見られます」
離れて暮らす身内の声に耳を傾けよう
とはいえ、一緒に暮らしていると変化に気づきにくいし、「年をとったらこんなものかも」と思うこともあるだろう。そんなときは離れて暮らす身内の意見が参考になる。山口さんの場合は、離れて暮らす次兄が母の異常を指摘した。
「自宅に来た次兄夫婦が母の食事の仕方を見て『前と違って、食べ方がガツガツしている』と言うので、ハッとしました。私は毎日接しているから、そこまでおかしいとは思えなかったんです」(山口さん)
井関さんは判断の目安として、「2~3年前になかったことが、数回起きればおかしいと考えた方がいい」と言う。
「仕事をしている人なら、職場でトラブルが生じるので表面化しやすいが、専業主婦は気づかれにくい。本人は気のせいだと楽観的に考えがちなので、いち早く子供が気づいてあげてほしいです」(井関さん)