不況の時期でも成長を続けることから「最強の外食産業」とも呼ばれる回転ずし業界、その大手チェーンは4つ。年商の高い方から「スシロー」「無添くら寿司」「はま寿司」「かっぱ寿司」の順になる。なかでも、売り上げと成長率を見るとスシローの“一強”状態が長く続いているという。回転ずし評論家の米川伸生さんはこんな見方をする。
「近年、消費者も回転ずしに安さだけでなくおいしさを求めるようになっています。ここ10年にわたって、すしネタのおいしさを一心に追求してきたスシローが他社の手の届かない高い水準にまで達してしまったことが独り勝ちの理由でしょう。特に天然魚の味わいは業界随一といってもいい」
そのおいしさの秘密は仕入れの厳しさにも表れているようだ。
「スシローさんの仕入れの規格はかなり厳しい。たとえばエビなら大きさがミリ単位で定められています。厳しい基準をくぐり抜けたものだけをスシローさんが仕入れ、それ以外のものがほかのチェーンに流れることもあります」(回転ずしチェーン仕入れ担当者)
スシローの厳選ぶりは、同業者も舌を巻くほどのレベルというわけだ。回転ずしを知り尽くした賢者たちは用途や食べたいものによって、使い分けている。回転ずし探究家の柳生九兵衛さんの場合は以下のとおりだ。
「たとえば、くら寿司はサイドメニュー開発のパイオニア。天丼やハンバーガー、担担麺など種類も豊富で味もいい。そのうえ無添加を謳っており安心感がある。それでいてすしは税抜き100円を死守している。低糖質麺やご飯を半分にした『シャリハーフ』をいち早く取り入れるなど、時代に即した動きもとにかく早い。祖父母と孫が一緒に食事をするようなときにはおすすめできますね」