認知症になるとお金のトラブルに巻き込まれやすくなる。「訪問販売」や「電話勧誘販売」関連のトラブルが生じるケースもあれば、一方で“本人のお金が使えなくなる”ことによるトラブルも起こりやすい。介護アドバイザーの横井孝治氏が解説する。
「金融機関に認知症であることが知れると、その人の口座が凍結されることがあります。すると本人や家族であっても、預貯金を下ろすことができなくなり、日々の生活に大きな不自由が生じる」
振り込め詐欺の横行により、金融機関では高齢者の預貯金の不審な引き出しに目を光らせている。窓口やATM操作時の声掛けなどもさかんに行なわれるようになった。
では、どのような状態だと口座を凍結されてしまうのか。
「たとえばATMの暗証番号を何度も間違えたり、窓口での対応がうまくできないといったところから銀行に『認知症である』と判断されるようです。
また、老親を連れて銀行にやってきた息子が『親がボケてしまい、老人ホームに入れることにしたので入居金のためにお金を下ろしたい』と言ったため、その場で口座が凍結されたというケースもあると聞きます」(前出・横井氏)
預貯金口座が凍結されると親の医療費や介護費用を下ろせないだけでなく、振り込まれた年金も引き出せなくなる。
介護などの費用負担をめぐって親族間で無用な争いを引き起こすことにもなりかねない。こういった事態を防ぐには、そうなる前に対処することが大切だ。
※週刊ポスト2020年11月20日号