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「なんで俺だけ…」東大卒同士の出世競争で取り残された30代平社員の落胆

 Kさんはほぞを噛む。「なんで同じ東大卒でもこんなに差が……」と自暴自棄になり、それまであまり飲まなかった酒を同僚や先輩と激しく飲むようになった。唯一の救いは、学生時代から付き合ってきた彼女がいたこと。彼女が励まし続けたことで、会社を辞めることなく、勤務し続けることができた。

 入社6年目になり、晴れて本社勤務になったKさん。しかし、その頃にはAさんもOさんも役職がついており、部下を束ねるポジションになっていた。Kさんは相変わらず「ヒラ」で、給料にも開きがついていた。

 彼ら東大卒3人の事情をよく知る同期の女性、Hさんはこう話す。

「Kくんは、同期からみても『俺は東大様だ』というオーラが強すぎて……(笑)。工場に行っても、偉そうな態度があからさまで、現場の人に嫌われていたみたいです。AくんやOくんは、偉ぶることは全然なく、人当たりはやわらか。頭の回転が速いうえに周囲からの信頼も厚く、当初から『この人は仕事ができるんだろうなあ』という感じがありました。

 AくんとOくんが昇進したという話を聞いて、私が思ったのは、仕事ができるというだけでなく、人望や信頼感が昇進にも関係するのかなあということでした。だから、2人がいち早く昇進したことには、納得感しかありません。『彼らならそうなるだろうな』というのが率直な感想です」(Hさん)

 いまだに「ヒラ」止まりのKさんについては、どう感じているのだろうか。

「『やっぱりね』という感じです(笑)。私だって、人を見下したような物言いばかりで自分では動かないKさんの下では働きたくないです。でも、東大の人は、東大卒どうしでの比較になるから、ある意味大変だなとは思いました」(Hさん)

 東大卒といえども確実に出世できる保証はない。今回のケースのように、東大を出たのに「こんなはずではなかった」ということもあり得るようだ。

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