中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

20代の若者が団塊ジュニアを「逃げ切り世代」と感じる理由

 いずれも「確かに……」と思わされてしまいました。かく言う私も「インターネット上でニュースを編集する」という今では一般的になった仕事を、他の人達よりも早く2006年に開始したため、様々な恩恵を得ることができました。

 あの時はとにかくなんでもかんでもインターネットを絡め、そこで波に乗ればいい思いができる時代でした。もちろん、上に挙げたような起業家レベルではないものの、「デジタルに精通した人」と「アナログ人間」のネットリテラシーの差が激しかった時代は、「とにかくネットに参入すればなんとかなる!」という傾向があったのは事実です。しかし、今や誰もがネットを「当たり前のもの」、いや、インフラとして捉える時代になっています。

 我々世代はインターネットという新しいテクノロジーが出た時に目をキラキラとさせて「これで何をやってやろうか!」なんて考え、今から思うとそこまで画期的なわけではないサービスで財を成したりしている人もいるわけです。だからこそ、その様を見知っている若者世代が「あなた達は勝ち逃げ世代」という言葉も少し理解できるのです。

 とはいっても、氷河期世代は本当に不遇な人が多い世代です。大学入試も過酷でしたし、バブル崩壊後の不景気の時代は時給820円のバイトを得ることさえかなり大変でした。バイト情報誌「フロムA」がコンビニに入荷されるのを待ち、すぐに電話をするも話し中。ようやく繋がったかと思ったら「先ほど埋まりました……」なんてことを言われる。

 果たして氷河期世代は「逃げ切り世代」なのか? そこは各世代の解釈によるとは思いますが、私は「そう思われていることは事実」と捉えました。意外ではありましたが……。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、博報堂入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『恥ずかしい人たち』(新潮新書)。

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