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中小企業向けコロナ融資をタネ銭に株投資 億り人になった経営者も

 緊急支援であるがゆえに“性善説”をベースに融通される資金を手にし、それを右肩上がりの株式市場に投じることによって、濡れ手で粟の利益を得ているというのである。金融情報を提供するマーケットバンク代表の岡山憲史氏が解説する。

「日経平均株価は昨年3月に1万6000円台の安値をつけましたが、2月15日に3万円台に乗せ、ほぼ倍になっている。『給付金トレーダー』たちが昨年春に日経平均に連動するETF(上場投資信託)を買っていれば、投資額の倍近く儲けられるわけです」

 個別銘柄に狙いを定めていれば、ネット関連など「巣ごもり銘柄」でさらに大きく儲けられる。

「『給付金トレーダー』のように、元手となる資金を手にしていきなり株式市場に投じようとする人たちの思考はシンプルです。コロナで在宅勤務が増えたことによって業績が伸びそうなところが投資先になり、実際にこの1年はそうした企業が大きく株価を上げた。たとえば、ECサイトのシステム運営『BASE』の株価は昨年5月から10倍に高騰。飲食宅配の『出前館』も最高で8倍に、オンライン診療関連の『エムスリー』は同4倍になりました」(岡山氏)

 もちろん、給付金を必要とする困窮者は多い。だからこそ、3月には「持続化給付金」の事実上の後継制度である「事業再構築補助金」が公募開始予定だが、奥窪氏は悪用を懸念する。

「同制度は業態転換などを実施する中小企業を対象に最大1億円が補助されるものですが、“悪党”が総予算1兆円を超える事業に目を付けないわけがない。あらゆる抜け道を探すでしょう」

 当然ながら、給付金を不正に受け取れば厳しい代償が待っている。

「給付金の詐取は詐欺罪に問われます。法定刑は10年以下の懲役で、罰金刑はない。有罪判決なら懲役の前科を免れない重罪です。さらに延滞金や加算金を請求される場合もある」(アトム市川船橋法律事務所・高橋裕樹弁護士)

 不正に入手したカネを元手にした“錬金術”がまかり通ってはならない。

※週刊ポスト2021年3月12日号

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