家計

車の売買トラブル、代金未納のまま転売されたらどうする?弁護士が解説

 代金の請求先ですが、弟さんが売った相手は知人ですから、知人に支払いを求めるしかありません。知人から買った人(転買人)には代金請求はできません。その代わり、自動車は取り戻すことができます。

 知人は代金の支払い約束を果たさないのですから、契約違反です。弟さんは債務不履行を理由に知人との売買契約を解除できます。契約解除の効果は、原則として第三者である転買人の権利には影響しないのですが、今回は自動車の売買なので、転買人は自動車の登録名義の変更をしないと所有権の取得を対抗できません。登録名義はまだ弟さんにあるようです。したがっていまのうちなら、契約を解除して取り戻すことが可能です。誰が買ったか知人から聞き出して交渉するとよいでしょう。

 ところで、知人に自動車を売った後で、駐車違反の放置違反金の納付書が届いたとのことですが、駐車違反をした運転者がステッカーを無視して反則金の支払いをしないまま30日が経過すると「車両の使用者に対し、放置違反金の納付を命ずる」ことになり、持ち主に納付書が送られてきます。しかしこの「使用者」とは、放置車両の権原を有し、車両の運行を支配し管理する者で、同車両の運行についての最終的な決定権を有する者です。弟さんは自動車を知人に売ったのでこうした権限がありません。警察に事情を説明するとよいでしょう。

【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。

※女性セブン2021年6月10日号

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