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【日本株週間見通し】株高基調は続くのか、メジャーSQ後にも注目

 8月最終営業日の日経平均株価は大幅上昇で、12カ月ぶりに月末株安アノマリーを打破した。それまでの相場のムードが決して良くなかっただけに、大幅高で嫌なアノマリーを断ち切ったことは非常に印象的だった。また、反動安が想定された9月1日以降も続伸劇が続き、29000円台まで一気に駆け上がった。こうした様相一変の背景には、これまで日本株の上値を抑制してきた様々な要因が解消されてきたことが考えられる。

 上値を抑えてきた大きな要因としては、新型コロナウイルスの感染動向、政局不透明感、景気減速懸念などが挙げられる。一つ目のコロナ感染動向については、依然として水準は高いものの、全国の中でも先行性の高い東京都の新規感染者数に明確な鈍化が見られている。8月第3週の5000人台、第4週の4000人台の推移と比べて、8月末から9月上旬にかけては3000人前後での推移が多く、8月30日には2000人を下回っていた。前週比減少傾向が続いており、ピークアウト感が見られてきている。ワクチン接種を2回済ました人の割合が全国民の約半分にまで達し、欧米との格差が縮まってきたこともあり、コロナ感染を理由とした日本株敬遠の動きは後退してきたようだ。

 2つ目の政局不透明感については、10月21日の衆院議員任期満了が近づくなか、「解散・総選挙に向けては買い」という株高アノマリーの存在が大きい。過去の経験則として、衆院解散日から投票日にかけては日経平均が上昇するというパターンが多く観測されており、確度の高いアノマリーとして市場関係者の間では知られている。また、今回のように与党の支持率が大きく低下している際には、求心力回復のために大胆な経済対策が打たれるのではとの期待が高まる。さらに、先週末には、菅首相が総裁選に不出馬と伝わり、早くも新首相による新たな政策期待が高まっている。衆院選は、9月29日に予定されている自民党総裁選の投開票日以降になるだろうが、それまではアノマリーを意識した動きや政策期待などで株高基調が支えられそうだ。

 景気減速懸念については、米サプライマネジメント協会(ISM)発表の製造景況指数、中国製造業購買担当者景気指数(PMI)のモメンタム鈍化、日本株と連動性の高い米長期金利の低下などが挙げられてきた。ただ、日経平均が2月の30714.52円から8月の26954.81円まで半年以上かけて調整した値幅を考慮すると、指標のモメンタム鈍化は十分に織り込んだともいえる。実際、先週は財新が発表する8月のPMIが製造業・非製造業ともに好不況の節目となる50を割り込んだが、アジア市場は大きく反応せず、日経平均に至っては独自要因で大幅高だった。

 また、水準としては、米製造業ISMは今後も50台後半の高水準が続くと予想されるほか、50すれすれまで低下した中国製造業PMIも底を打ってきたと思われる。来年は北京オリンピックの開催のほか、秋には5年に1度の共産党大会が開催される。習近平国家主席も3期目突入をにらんで、景気減速を放置することはないと考えられ、今後は財政支出の拡大が見込まれるほか、人民銀行の預金準備率引き下げなどで金融政策も緩やかではあるが緩和方向に向かうと想定される。

 そのほか、過去の経験則上、例年8月は相場が調整しやすい一方、9月、10月以降から年末にかけては株高になりやすい季節性もある。季節性の調整局面を終えたこともポジティブ材料となりそうだ。

 むろん、新型コロナウイルスの新たな変異株の出現・拡大や、衆院選での与党敗北などリスクもある。しかし、当面はポジティブな面に着目した動きが優勢となりそうで、海外勢の買い戻しが一層進展すれば、メジャーSQは波乱なく通過し、その後には更なる株高が見られるかもしれない。

 なお、今週は7日に7月家計調査、7月景気動向指数、中国8月貿易収支、独9月ZEW景況感指数、8日に4-6月期GDP確報値、8月景気ウォッチャー調査、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、9日に8月工作機械受注、中国8月生産者物価指数、中国8月消費者物価指数、ECB定例理事会、10日にメジャーSQ、米8月生産者物価指数などが予定されている。

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