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トヨタ、選手村バス事故の痛手 「自動運転」技術開発計画の見直しも

選手村を走るトヨタの自動運転バス「e-パレット」(時事通信フォト)

選手村を走るトヨタの自動運転バス「e-パレット」(時事通信フォト)

 東京パラリンピック開催中の8月26日午後、パラリンピック選手村を巡回する自動運転バスが、人身事故を起こした。T字路を右折しようとしたバスが、柔道(視覚障害)男子81kg級日本代表の北薗新光選手に接触。北薗選手は転倒し、頭に全治2週間の怪我を負い、28日の試合を欠場した。

 この自動運転バスの車両を提供し、運営していたのはトヨタ自動車で、豊田章男社長は8月27日、自社サイトの「トヨタイムズ放送部」に緊急出演して「多くの方々にご心配をおかけし大変申し訳ない」と謝罪した。この事故は、ロイターやニューズウィークなど海外メディアも報じ、世界に知られることとなった。

 経済ジャーナリストの小泉深氏はこう言う。

「自動運転車の事故自体は海外では何度も起きている。2016年5月にテスラの自動運転車で、2018年3月にはウーバーの公道試験中の自動運転車で死亡事故が起きていて、死亡にまで至らない事故はそれなりにあります。

 ただ、トヨタは社風として非常に慎重で、事故は一切起こしてはならないという雰囲気がある。

 2014年に初代の水素燃料電池車『MIRAI』を発売したときは、買い手がいるにもかかわらず、安全を期して生産を400台に抑えた。水素には爆発するというイメージがあるので、事故が起きないようにトヨタが管理できるユーザーだけに絞ったのです。そこまでやる会社なのに、今回の事故が起きてしまったのは痛手でしょう」

 選手村で運行していた自動運転バスは、決められたコースを巡回するだけで、自動運転といいながらオペレーターが搭乗して操作していた。安全最優先のシステムだったが、自動運転技術をアピールするつもりが、逆効果になってしまったのは間違いない。

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