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真壁昭夫 行動経済学で読み解く金融市場の今

中国の経済失速が本格化 日本経済に忍び寄る「悪いインフレ」の懸念

2021年11月14日 7:00 マネーポストWEB

賃金が伸びていないのに物価が上がる

 そうした中国経済の失速は、言うまでもなく世界経済に暗い影を落とすことになるだろう。自動車をはじめ中国向けビジネスの需要が減ることは覚悟しておかなければならない。さらに問題なのは、資源価格や穀物価格の急騰である。中国がこれまで世界中から買い漁ってきたことで、世界的なインフレ懸念が高まっているのだ。

 日本でもすでに、資源価格の高騰がガソリン価格に反映され、生活者に打撃を与えている。そこに円安も重なったことで大豆、とうもろこし、小麦などの穀物の輸入価格が上昇。原材料の高騰で身近な食料品の値上げも相次いでいる。ようやく景気回復に向けた動きが見えつつある欧米でも、消費者物価指数を上回るペースで卸売物価指数の上昇が顕著となっている。

 デフレが長引いてきた日本では、インフレに転じることをプラスに捉える向きもあるかもしれないが、決してそうではない。足元の状況は、賃金が上昇して消費が伸びて物価が上がる「良いインフレ」では決してなく、賃金が伸びていないのに原材料の高騰で物価が上がる「悪いインフレ」なのである。

 にもかかわらず、日本では20年以上にわたってデフレが続いてきたため、「物価は上がらない」という「フレーミング効果」が染み付いている。「まだまだデフレが続くはず」というフレーム(枠)にとらわれ、ひたひたと迫る物価上昇を真正面から捉えられない。

 このまま「フレーミング効果」にとらわれている間に「悪いインフレ」が進行すればどうなるか。人々は、気付けば物価がどんどん上がっていくことで強迫観念にかられ、やがて自分ではどうしようもなくなる「コントロールの欠如」に陥る。そうなれば国内の混乱は必至だろう。かつてのオイルショック(最近ではコロナ禍のマスク不足)のように、「値上がりする前にまとめ買い」などと買い占め騒動に発展してしまうのかどうか、懸念されるところだ。

【プロフィール】
真壁昭夫(まかべ・あきお)/1953年神奈川県生まれ。法政大学大学院教授。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリルリンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。「行動経済学会」創設メンバー。脳科学者・中野信子氏との共著『脳のアクセルとブレーキの取扱説明書 脳科学と行動経済学が導く「上品」な成功戦略』など著書多数。最新刊は『ゲームチェンジ日本』(MdN新書)。

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